ダウンタウンが巨大な展示場に変貌!
現代アートとともに過ごす秋の一夜
Nuit Blanche 2013
(2013年9月20日記事)
 トロント市内各所

芸術の秋を象徴する毎年恒例のアートの祭典「Nuit Blanche」。仏語でNuit = 夜、Blanche = 白、つまり「白夜」という名称の通り、日没から明け方まで、絵画、写真、インスタレーション、パフォーマンスなどさまざまなアートが公開される。普段見慣れた公共の場や裏通りがギャラリーと化し、この夜は、街全体がアート展示場に様変わり。

今年は500人以上のアーティストによる112のプロジェクトが参加。なかでも最大の目玉は中国の現代美術家兼活動家アイ・ウェイウェイの作品だろう(上写真)。3144台もの自転車を組み合わせたダイナミックなインスタレーションは観る者を圧倒する。また、今年は3つのテーマを設置。「Off to a flying start」では、既製のアイテムと芸術を組み合わせたレディメイドアートが、「PARADE」では音や光を駆使した作品とパフォーミングアーツなど前衛的なアートが公開される。
そして、「Romancing the Anthropocene」では現代社会が抱える問題を訴えるメッセージ色の強い作品が集められている。
いずれも魅力的な作品ばかりで全てを鑑賞したいところだが、残念ながらそれは困難。
事前に興味のある作品、テーマをチェックして効率良く回ろう。秋の夜長もこの夜ばかりはあっという間に明けてしまう。

Downtown CentralOff to a flying start

既製品を用いたオブジェ、「レディメイド」という概念を生み出した現代アートの先駆者フランス人アーティスト、マルセル・デュシャン。ダウンタウンの南側に広がるエリアでは、1913 年に発表された彼の作品「自転車の車輪」100 周年を記念し、レディメイドアートが並ぶ。

最寄りのInformation Centre
◆ Nathan Phillips Square(Queen St. x Bay St.)


Forever Bicycles, 2013Garden (写真上)
by Ai Weiwei-Beijing, China

自転車で作り上げた三次元構造のアート。人類による地球環境の変化を訴えかける躍動感溢れるインスタレーションは、迷宮に迷い込んだかのような錯覚へ誘う。

【会場】Nathan Phillips Square( 100 Queen St. W.)
【手法】Installation


Garden Tower in Toronto, 2013
by Tadashi Kawamata-Hokkaido, Japan

Chairs for Abu Dhabi, 2012
© Tadashi Kawamata Photo: Daniel Suarez Courtesy of the artist and kamel mennour, Paris


積み上げられた膨大な椅子…。古代円形闘技場を思わせるインスタレーションは、文化や言葉の違いなど弊害がありながらも理想に向かってせめぎ合うギリシャ神話バベルの塔を連想させる。

【会場】Metropolitan United Church(56 Queen St. E.)
【手法】Installation


Toaster Work Wagon, 2013
by Kim Adams-Toronto, Canada

© Diaz Contemporary

作者は、AGOからその年最も活躍したカナダ人芸術家に贈られるGershon Iskowitz 賞の昨年度の受賞者。車輪で繋げられた自転車は人間同士のコミュニケーション、交渉と衝突を表現している。

【会場】Osgoode Rotunda Laneway( 361 University Ave.)
【手法】Sculpture


Familia, 2006
by Bruno Billio-Toronto, Canada

Familia, 2012

家庭から集められた不揃いの椅子。繋げられたそれらの椅子は、離れ離れになった家族が再び集まることを意味する。観客をノスタルジックな気分にさせるインスタレーション。

【会場】Church of the Holy Trinity(10 Trinity Sq.)
【手法】Interactive Installation




University Avenue / Queen's ParkPARADE

クイーン通りからブロア通り付近まで、ユニバーシティ・アヴェニュー沿いに並ぶ14 のアート。音や光、パフォーミングアーツなど" 動" のアートが通りの両側に点在する。屋内ギャラリーでは見られない作品がここでは楽しめる。

最寄りのInformation Centre
◆ Nathan Phillips Square(Queen St. x Bay St.)
◆ Yonge-Dundas Square (Yonge St. x Dundas St. E.)


Music Box, 2013
by John Dickson-Toronto, Canada

Courtesy of John Dickson

人類が求める安定性と絶えず変動する世界秩序との矛盾をテーマに、トロントを拠点に活躍しているジョン・ディクソンの作品。ミュージックボックスから流れる楽器の美しい生の音色に酔いしれよう。

【会場】University Ave. x Armoury St.
【手法】Kinetic Sound Sculpture


Rumbling Drumlins, 2013
by AGATHOM Co.-Toronto, Canada

© Serafi ma Korovina

日常生活において感じる「その音は何?」「この匂いはどこから?」「これは誰が作ったの?」という数々の疑問…。巨大なフロートは、対象物に対峙する我々の認識について問いかける。

【会場】University Ave. x College St.
【手法】Installation


A Quack Cure, 2013
by Lisa Hirmer, as DodoLab - Guelph, Canada

Courtesy of Lisa Hirmer

仮面を着けた隣人が隣家を訪ね、その住人を巻き込んで芝居をするリレー式の無言劇は、中世のお祭りで盛んに行なわれたエンターテインメント。稀有なパフォーマンスがこの夜に蘇る!

【会場】Queens Park Cr. E. x Wellesley St. W.
【手法】Performance Art




Downtown South / WestRomancing the Anthropocene

Anthropoceneとは、地質学上、産業革命以降の時期を指す。キング通りとリッチモンド通りのエリアでは、社会の発展に伴い発生した地球温暖化、資源の枯渇、動植物の絶滅など、現代社会が直面する問題をアートで訴える。

最寄りのInformation Centre
◆ David Pecaut Square(King St. W. x Simcoe St.)
◆ Nathan Phillips Square(Queen St. x Bay St.)


Tanks, 2013
by Cal Lane - Putnam Valley, New York, USA

Oil Tank Map of the World, 2007 Courtesy of Cal Lane

石油タンクにレースのような細かな装飾が加えられ、重厚さと繊細さのコントラストが印象的な作品。使い古されたタンクは、急激に工業化が進んだ産業革命時代を彷彿させる。

【会場】David Pecaut Square(221 King St. W.)
【手法】Sculpture 


The Anthropocene, 2013
by Caledonia Dance Curry - Brooklyn, USA Swoon - Brooklyn, USA

Anthropocene Extinction, 2011 © John Kennard

ビル、非常階段、橋などに絵画を描くストリートアートで知られるスゥーン。彼女の特徴的なスタイル、ちぎり絵を絵画に重ねる手法を壁画で披露。

【会場】Bay Adelaide Centre(26 Temperance St.)
【手法】Mixed Media Installation


Mariner 9, 2012
by Kelly Richardson - Whitley Bay, UK

Mariner 9, 2012 © Colin Davison

100年後の火星。1971年に打ち上げられた火星探査機Mariner9は、未だに生命を探すミッションを続け…。スクリーンに映し出されるパノラミックなビデオは迫力満点。

【会場】Commerce Court( 25 King St. W.)
【手法】Video Installation





Information


【日 時】10月5日(土)18:51 ~夜明け
【場 所】トロント市内参加各所
【入場料】 無料
【サイト】 www.scotiabanknuitblanche.ca

お得情報
TTCではNuit Blancheのためにオールナイトで使用できるデイ・パスを発売している。1枚10ドルで10月5日から6日の9時まで乗り放題。1枚で大人2人と子ども4人まで使用可能。

■地下鉄
通常午前1時30分ごろに最終となる地下鉄だが、この日は以下の区間のみ翌朝7時まで運行する。以降は通常ダイヤに戻り、6日の始発は午前9時となる。 【Bloor-Danforth subway】
Keele 駅~ Woodbine 駅間 【Yonge-University Spadina subway】
St. Clair West 駅~ Eglinton 駅間


■ストリートカー・バス
TTC が運行しているブルーナイトバス(24時間運行バス)は通常通りに運行。