秋の夜長を賑わす10月3日一晩限りの現代アートの祭典
Nuit Blanche
(2015年10月3日記事)
2002年にパリで始まった、コンテンポラリーアートを祝う祭典「Nuit Blanche」。フランス語でNuit = 夜、Blanche = 白、つまり「白夜」という名称の通り、日没から夜明けまでアートの展示が夜通しで行なわれる。

今年で10周年を迎えるトロントのNuit Blancheは10月3日(土)の日没にスタート。ギャラリーはもちろん、普段アートが存在しない屋外もこの日は展示会場となり、400組以上のアーティストによる約110作品がダウンタウン各所で披露される。
またNuit Blancheでは、 独立した展示のほかに、テーマ性をもたせた展示をそれぞれ別のキュレーターが受け持ち披露する。
今年は南北アメリカのアーティストの作品を集めた「HTUOS/HTRON」、写真家JRの作品を主に集めた 「Black and White Night」、そしてオンタリオ湖沿いのエリアで風力を題材にしたアートが並ぶ「The Work of Wind」が披露される。さらに、10組の文化団体によるノスタルジックをテーマにした「10 for 10th」という10周年記念の展示もあるのでお見逃しなく。

昨年は100万人以上の人が訪れたと言われ、今年も当夜の混雑は必至。お目当ての展示、エリアは事前にチェックを。また、3か所で設営されているインフォメーション・センターで地図をピックアップして、効率良くまわろう。

アメリカの新たなスタンダード
HTUOS/HTRONCollege St. / University of Toronto

ウルグアイ出身のモダニズムの先駆者と言われる美術家、ホアキン・トレース・ガルシア。1943年に発表された彼の作品「Inverted America」をコンセプトにトロント大学の敷地とカレッジ通りの東側ジャービス通りに点在する12の展示。

┃1 noissecorp
 By Amalia Pica - Cipolletti, Argentina

より良い社会はクリエイティビティによりもたらされる、という概念に基づいた社会彫刻プロジェクト。希望ある未来に向けての行進“マーチ”は、クィーンズ・パーク・クレッセント通りを巡回する予定。

Photo: Polly Branden, courtesy of the artist; Marc Foxx, Los Angeles; Herald St, London; Stigter van Doesburg, Amsterdam.

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会場/Queen’s Park Cres. & Wellesley St.
手法/社会彫刻


┃2 Raptor's Rapture
 By Allora & Calzadilla - San Juan, Puerto Rico

ドイツ南部で2009年、約3万5000年前の地層から発掘されたハゲワシの翼の骨などで作られたフルートの原形。最古の楽器とも言われるフルートの演奏は、今の時代に生きる私たちに先史時代を蘇らせる。

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会場/Hart House(The Great Hall、7 Hart House Cir.)
手法/パフォーマンス・アート


┃3 Time of the Empress
 By Aziz + Cucher - New York City, USA

建物をカンバスに、白い線によるアートが浮かびあがるインスタレーションは、成長と衰退、破壊と再生を繰り返す人類の歴史を表している。タイトルは仏文学『ハドリアヌス帝の回想』の一節による。

Photo: Time of the Empress (Rendering), 2015

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会場/Ontario Institute for Studies in Education(252 Bloor St. W.)
手法/ニュー・メディア・インスタレーション


┃4 Sphinx
 By Luis Jacob - Toronto, Canada

両手でフレームをかたどっている巨大な男性の彫刻。彫刻の周りのテーブルに並べられているのは50年以上前に出版されたトロントにまつわる印刷物。それは街とそこに生活する私たちとの新たな関係性を表している。

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会場/Allan Gardens(19 Horticultural Ave.)
手法/彫刻



Agustin Pérez Rubio

Curator

Agustin Pérez Rubio

アルゼンチン最大の現代博物館MALBAのアートディレクターを務め、これまで100以上の展示施設でキュレーションの経験を持つ。歴史家また美術評論家としても高い評価を得ている。



世界的に知られる写真家JRによる作品
Black and White NightCity Hall / Bay Street

市庁舎前を中心にユニバーシティ通りとベイ通りを南下したエリアまでを含む。“普段見えない部分を出して、コミュニティの活性化を促したい”そんな思いを込めた写真家JRによるキュレートは自身の作品を含む8点。

┃1 Les Bosquets
 By JR - Paris & New York, France & USA

2014 年にニューヨークで行なわれたバレエの演目「Les Bosquets」のパフォーマンスを元にしたもの。今年4月に行なわれたニューヨークの独立系作品を集めた国際映画祭トライベッカ映画祭の上映作品でもある。JRによるアーティスティックな映像は必見。

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会場/Design Exchange(234 Bay St.)
手法/フィルム・インスタレーション


┃2 Les Bosquets in Toronto
 By JR - Paris & New York, France & USA

写真は、どこに、どのような形で発表するかが重要だと言うJR。取り壊される公営住宅団地の住人のポートレートを貼ったプロジェクトは再構築のための破壊を意味する。

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会場/Design Exchange (234 Bay St.)
手法/プロジェクション


┃3 Inside Out
 By JR - Paris & New York, France & USA

JR の代表作とも言えるポートレート作品「Inside Out」。参加型の同プロジェクトでは、9月28日から市庁舎前に設置されていたフォト・ブースで撮影されたポートレートを展示する。

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会場/City Hall(100 Queen St. W.)
手法/写真インスタレーション、インタラクティブ・インスタレーション


┃4 The Eyes of the Bridge
 By JR - Paris & New York, France & USA

未だ闘争や残虐行為が存在する国々。実際にその地を訪れたJRは、そこで出会った一般の人々を写真に収めた。過酷な経験を物語る彼らの目を大きな橋に映した作品。

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会場/Bay St. & Front St. W.
手法/ビデオ・インスタレーション


JR

Curator

JR

パリ、ニューヨークを拠点に世界中で活躍する写真家。代表作はビルや橋など屋外の建築物をカンバスに巨大なポートレートを展示する「インサイドアウト」。2012年には来日し、東日本大震災の被災地で同プロジェクトが行なわれた。



ウォーターフロントに並ぶ風力を表すアート
The Work of WindWaterfront (Parliament St. to Harbourfront Centre)

風力0からハリケーンレベルの12まで13段階のビューフォート風力階級を表した13のアート。ハーバーフロント・センターからパーラメント通りまで、風力の段階ごとに陸上や海上、空の様子を表したアートが並ぶ。

┃1 Beaufort 0: Cumulus
 By Tomás Saraceno - Tucuman, Argentina

ボリビアに位置する塩の湖ウユニ塩湖。天空の鏡と称される風力ゼロの穏やかな映像は、地上で起こっている人口過多の解決策として、雲の上での生活を想像させる。

Photo: Courtesy the artist, Tanya Bonakdar Gallery, New York and Esther Schipper, Berlin

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会場/Victoria Soya Mills Silos(Lakeshore Blvd. E. & Parliament St.)
手法/ビデオ・インスタレーション



┃2 Beaufort 3: Glaciology
 By Anandam Dancetheatre - Toronto, Canada

ライブパフォーマンスとして都会を漂流する様子を12時間かけて表現。パフォーマンスは、クイーンズ・キーのボードウォークからロウワー・シムコ通りまでを巡回予定。

Photo: Brandy Leary

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会場/369 Lake Shore Blvd. E.
手法/パフォーマンス・インスタレーション



Christine Shaw

Curator

Christine Shaw

トロント大学ミシサガ校内の「Blackwood Gallery」のディレクター兼キュレーター、そして同校の講師を務めている。カナダのアートイベントに積極的に関わっている。



10 組の文化団体による10種の展示
10 for 10th - Memory Laneトロント市内各所

Nuit Blancheのトロントでの開催10周年を記念したトロント市内にある文化団体の協力により実現したプロジェクト。“ノスタルジック”をテーマに集められた作品は、ダウンタウン各地に点在。

┃1 Silent Knight
 By Ekow Nimako - Toronto, Ontario

ネズミから農作物を守るフクロウは昔から特に愛されてきた動物。5万個のレゴブロックで作ったフウロウは、都市化により絶滅の危機にあるフクロウの存在を危惧している。

Photo: Janick Laurent

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会場/Gardiner Museum(111 Queen’s Park)
手法/彫刻



┃2 The Virtual Immigrant
 By Annu Palakunnathu Matthew - Providence & Bangalore, USA & India

インドのコールセンターで働いていたインド人。北米で暮らすようになったものの体はインドに残ったまま… 。長年慣れ親しんできた文化から移民先の文化への適応にとまどう姿を表す。

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会場/Royal Ontario Museum(100 Queen’s Park)
手法/ニュー・メディア・インスタレーション



JR

Curator

Che Kothari

写真家、ディレクター、プロデューサー、キュレーター、と数多くの肩書きを持つエネルギッシュなアーティスト。写真や映像などのコンテストでの受賞経験多数。




Information


【日時】10月3日(土)日没〜夜明け 【入場料】無料
【会場】トロント市内参加場所各所 【サイト】www.scotiabanknuitblanche.ca

当日の展示を詳しく示した地図はダウンタウン3か所に設置されたインフォメーション・センターにて配布される。
●カレッジ通りとユニバーシティ通り交差点付近
●市庁舎前 (クイーン・ウエスト通りのベイとヨーク通りの間)
●ユニオン駅(フロント・ウエスト通りのヤングとベイ通りの間)
■地下鉄
通常午前1時30分頃に最終となる地下鉄だが、Line1(ヤング・ユニバーシティ線)とLine 2(ブロア・ダンフォース線)はこの日は夜通し運行予定。

■ストリートカー・バス
TTCが運行しているブルーナイトバス(24時間運行バス)なども通常より運行数を増やす予定。

※#501クイーン通りのストリートカーは、チャーチ通りとスパダイナ通り間はキング通りを迂回運行。 ※詳細はTTCウェブサイトにて確認を(www.ttc.ca)。

TTCでは「Nuit Blanche」のためにオールナイトで使用できるデイ・パスを発売中。1枚11.50ドルで10月3日(土)から4日(日)の午前9時まで乗り放題。1枚で最大大人2人と子ども4人まで使用可能。

※各イベントの開催場所などの情報は9月25日現在のものです。お出かけ前にウェブサイトなどでご確認ください。