トロントで出会うSAKE
カナダで日本酒を再発見
(2012年3月2日記事)

55 Mill St., Blidg.4

416-365-7253

冬にはぎゅっと熱燗で一杯やりたいね! なんて思う人もいるはず。一般的な日本酒は寒い時期に絞られるとよく言われるが、実際は四季を通して造られることで様々な顔を見せるのが日 本酒の奥深さのひとつ。そんな日本酒の魅力を間近に見て味わうことができる蔵、オンタリオ酒(Ontario SpringWater Sake Company) で、トロントの個性を生かした”地酒“の生産工程を見学してみよう。

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2011年春にオープンしたオンタリオ酒は、地元トロントをはじめとするカナダの人達に日本酒に親しんでもらい、日本人はもちろん、より多くの人に日本酒本来の味わいに気づいてもらいたいという思いを込めてオープンした。添加物を一切使わず、地元の天然湧水を使って手造りで純米酒を造っているという。ディスティラリー地区にある蔵では、今や大型化や機械化が進んだ日本ではなかなか目にすることのできない、丁寧な手作業の酒造りが行なわれている。
編集部が訪問した時は、カナダ人醸造家グレッグさんが「仲」と呼ばれる仕込み作業をしていた。カナダの大学で微生物を研究し、長野県の酒蔵で修行を積んだグレッグさんがオンタリオ酒で手がける2度目の仕込みだ。

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グレッグさんは、熱い蒸気の上がる「甑(こしき)」から蒸したての米を専用スコップで掘り出し、布を敷いた大きな木枠のトレイへ移す。扇風機で風を送りながら蒸米を手で少しずつほぐすようにして冷まし、米の温度が約11度まで下がったら、布で米を包むようにして仕込みタンクへと運んでいく。タンクに水と麹を加えた後、蒸米を静かに投入して、ゆっくりとかき混ぜる。タンク内の白く濁った液体からは泡がかすかに立ち上り、早くも酒の息遣いが聞こえてくるようだ。

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オンタリオ酒では、ワインの味に慣れたカナダ人に受け入れてもらえるように「甘み」と「酸味」を出した味作りを目指しているという。例えば、代表的な製品『生生』は火入れ(加熱殺菌)をしない生酒。さらっと清らかな口当たりで、ふくよかな麹の香味とともにしっかりとした甘みと酸味が感じられる。『生生』のような純米酒は、吟醸酒や本醸造酒などと比べると醸造する蔵の個性が出やすいとのことだが、確かに、日本で飲んだことのある日本酒とはひと味もふた味も違う。

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日本国外でもその知名度を上げている日本酒。外国人の日本酒愛好家も増えつつある昨今、日本酒が作られる工程を知って様々な風味の違いを味わう、そんな楽しみ方をトロントで学び、出身国の異なる友人達とSAKEを語りあおう。


オンタリオ酒はこうして造られる


一. 原料

オンタリオ酒では仕込み用の水にオンタリオ州北部で湧き出る天然水を使用。米はカリフォルニア産の酒造用の米を玄米の時のサイズの70%に精米してある。



二. 洗米・浸漬

布袋に入れた米を洗い桶に入れて水の中でジャブジャブと揺り動かして米ぬか等を洗い流す。洗い終わったら、袋ごと水を張った別の桶に入れて吸水させる。蒸しに必要な水分を米粒に与えるのが目的だ。



三. 蒸し

水を吸った米を甑(こしき)と呼ばれる蒸し器で蒸す。外側は硬めで中はもっちり、というのが理想の蒸し加減。蒸し米は、麹造り用や醪(もろみ)造り用などに使われる。



四. 放冷

蒸しあがった米は大きなトレイに広げて手でほぐしながら、その後の使用目的に適した温度まで冷ます。扇風機の風も利用するとはいえ、熱い蒸米を手で冷ますのは大変な作業だ。



五. 麹作り

麹造り用の蒸米に麹菌をふりかけ、麹室(こうじむろ)の中で徹底的な温度管理をしながら約2日かけて麹菌を繁殖させて麹を作る。麹菌によって米のデンプンがブドウ糖に変化し、日本酒の甘みや旨みのもとになるのだ。



六. 仕込み

麹を酵母と共に仕込み水に加え、さらに蒸米を入れてよくかき混ぜる。一度に大量の物量を仕込むと、酵母の増殖が間に合わないため何回かに分けて仕込んでいく方法が「段仕込」。オンタリオ酒では「添」「仲」「留」の三段階に分けて仕込む「三段仕込」。「添」の翌日は1日仕込みを休むので三段階の作業を4日間で行うことになる。仕込みタンクの中では静かに醪の醗酵が進んでいく。この状態で約3~4週間。毎日かき混ぜながら適温を保ち、酸や比重を測り、アルコール度数の検査なども行なう。



七. 上槽(じょうそう)・滓引き(おりびき)

完成した醪を酒袋に入れて「槽(ふね)」という道具で搾って酒と酒粕に分ける。これは、今では昔ながらの吟醸仕込みの時にしか使われない方法だという。搾られた酒の風味や香りをそのまま楽しめるように、サイフォン方式で上澄みを分けたら、ろ過は行なわない。



八. 瓶詰め

ポンプなどの機械は使わず、自然の重力を使って瓶に出していく。タンクに入れて冷蔵室で保管する場合もある。




取材協力
Ontario Spring Water Sake Company
【営業時間】月~土 11:00 ~19:00
日 12:00 ~18:00
【場  所】 Distillery Historic District( 55 Mill St., Bldg. 4)
【連絡先】416-365-7253 
【サイト】ontariosake.com

テイスティングツアー実施中!
酒造り工程の見学と3 ~4種類の酒テイスティングが楽しめる 。
【開催日】 木 18:00 ~19:00
土・日 13:00~14:00、16:00~17:00
【参加費】 $15





 
 
Distillery Historic District( 55 Mill St., Bldg. 4)
月~土 11:00 ~19:00
日 12:00 ~18:00