日本と縁深い運河の町
Leiden, Netherlands
ライデン(オランダ)(2012年12月7日記事)

Leiden, Netherlands

オランダ南部の都市ライデンは、中世に毛織物産業が栄えた町、「光の画家」レンブラントが生まれた町、そして日本と深い縁のある町だ。異文化の2国を結びつけたキーパーソンは、幕末の長崎に西洋医学を伝えたシーボルト。1829年に日本を去ったシーボルトはライデンに移り住み、日本研究の祖となって日本のあらゆる側面をこの地に伝えた。
気温が下がり冷え込む季節には、屋内施設が充実した町に引き寄せられるもの。ライデンは冬本番になると、ライン川から引かれた運河が白く凍って、氷の世界に様変わりする。そんな時は落ち着いた町並みに点在する博物館をじっくりと観て回り、暖かいカフェやレストランでほっと体を暖めるのも、この季節らしい楽しみ方だろう。

町に息づく日本の面影

オランダの主要な各都市から鉄道が乗り入れるライデン中央駅。ガラス張りの駅舎を白いフレームがぐるりと囲う個性的な建物から外に出て、町の中心に向かって南下する。5分ほど歩くと現れる、三角形をしたベーステンマルクト広場が市内散策の出発点だ。ここから運河にかかる橋を越えてさらに南下すると、まもなくシーボルトハウスに到着する。日蘭交流400周年を記念して開館したこの日本博物館には、シーボルトが日本滞在中に収集した浮世絵、植物や動物のはく製、生活用具など約800点が収容されている。中には絶滅した生物や日本国内には残っていないものもあるので、新たに日本を知ることができるかもしれない。企画展では、浮世絵から現代美術やキティちゃん展まで開催。江戸時代から続く、日本への飽くなき好奇心の軌跡がここにある。
シーボルトハウスから運河沿いを南に下ると、すぐに現れるのがオランダで一番古いライデン大学と附属植物園。1万種を超える植物を擁するこの植物園にもシーボルトゆかりの日本庭園・シーボルト記念庭園があり、長崎時代に彼が愛した女性「お滝さん」から名を取ったオタクサアジサイが植えられている。体が冷えてきたら、お隣りの温室へ。枯山水の世界から一転し、上昇する湿度と温度、生い茂る緑が押し寄せてくる。そして原色の花々が陽気に迎え入れてくれるのだ。

オランダの象徴、風車とフットスポット

ライデン大学に程近いデ・ファルク風車博物館は、オランダらしさを感じる見所の筆頭だろう。1743年製の住居兼作業所の粉挽き用風車を博物館に改造しており、当時の生活を再現したキッチンや木製の家具が、慎ましくもかわいらしい。他の部屋には風車が描かれたグッズが集められ、デルフト焼きのコップ、お菓子のパッケージ、ポスター等が所狭しと並ぶ。オランダ人の生活の大黒柱である風車に、並々ならぬ愛着が感じられるコレクションだ。階上のデッキから町を見下ろすと、焦げ茶色の建物が整然と並ぶライデンの町が…。そういえば長崎にはオランダ坂があるのに、本家オランダは平たい低地の国なのだった…と思い出させてくれる風景がどこまでも広がっている。
そろそろ暖かい食べ物が恋しくなってきたなら、ライデン名物のフットスポットを探しに行こう。マッシュドポテトに巨大なソーセージや煮込んだ肉塊がどっかりと乗ったこの料理は、16世紀に起きたオランダ独立戦争の際、ライデンに攻め込んできたスペイン軍が残していったじゃがいもの端切れを使って考案されたと言われている。にぎやかな店内で熱々のフットスポットを頬ばると、湯気の向こうに見える凍てついた町並みがまるで別世界のよう。ガラス窓の内と外のように、日本から遠くて近い町に来た、という気持ちが湧いてくる。 

More Info
● オランダ政府観光局(日本語)
www.holland.com/jp/tourism.htm

●ライデン大学付属植物園
www.hortusleiden.nl



 
 

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