ヨーロッパ最西端の首都
Lisbon, Portugal
リスボン(ポルトガル共和国)(2012年9月21日記事)

Lisbon, Portugal

南蛮貿易で日本とも縁の深い国、ポルトガル。首都リスボンにはエンリケ航海王子の「発見のモニュメント」やインド航路開拓を記念して建てられたジェロニモス修道院など、大航海時代にまつわる建築物が多くある。そして、別名「7つの丘の都」と呼ばれるだけあって地形は起伏に富み、角を曲がるごとに急勾配に出くわすと言っても大げさではない。旧市街の中心では、その高低差を補うサンタ・ジュスタのリフトが日々大活躍だ。1902年に完成したネオゴシック様式のこのエレベーターは、町のシンボルとして住民にも旅行者にも重宝されている。 またアルファマ地区の曲がりくねった狭い道を路面電車がガタゴト走る姿は、可愛らしくも下町情緒たっぷり。ふと建物を見上げると、あちこちの窓辺にカラフルな洗濯物がはためいている。かつての栄華を偲ばせる豪華絢爛な記念碑が点在しつつも、素朴で飾らない町並み。焼き魚の香り漂うこの港町には、ポルトガル語独特の言いまわし「サウダーデ(郷愁・懐かしさ・憧れ)」がしっくり来るのだ。

アズレージョを追いかけて

見所の多いリスボンでポイントを絞った旅をするならば、アズレージョ(タイル)鑑賞をテーマにした街歩きを提案したい。アラビア発祥のアズレージョだが、15世紀に持ち込まれて以来ポルトガルの代表的な文化に挙げられるほど芸術的に発展し、日常生活に深く溶け込んでいる。建物といい、道路といい、家具といい、とにかく至る所がアズレージョで覆われているのを目にするだろう。そのモチーフやスタイルは千差万別だが、圧倒的に多い色使いは大西洋を思わせる白地に青だ。
アズレージョ散策の穴場として、お勧めなのが地下鉄の構内。1950年代後半に建設されて以来、どの路線の壁にも駅の特徴を捉えた作品が設置されている。例えば、近郊列車のターミナル駅でもあるカイス・ド・ソドレ駅のアズレージョは、時計を持った『不思議の国のアリス』のウサギが電車に乗り遅れないように道案内をしてくれるし、ラランジェイラス(オレンジの木)駅の壁にはおいしそうなオレンジが実っている…という具合。
そして、アズレージョについてもっと知りたくなったら、アズレージョ美術館に足を伸ばそう。16世紀の歴史的価値の高いものからコンテンポラリー作家の作品まで幅広く展示されているが、中でもリスボンの街全体のパノラマが描かれた大作は圧巻だ。

一日の楽しみ、お菓子のひととき

てんぷら、かるた、びいどろ、こんぺいとう…南蛮貿易時代にポルトガルから日本に渡ってきて、そのまま根づいたものや名前が残っているものは多い。そのせいか、リスボンの街角で出会う卵と砂糖がふんだんに使われたお菓子の数々は、私達の郷愁を刺激するものばかりで嬉しくなる。
お菓子の中で代表的なものはパステル・デ・ナタと呼ばれるカスタードタルト。焦げ目のついた表面とパリパリのタルト生地が香ばしい、濃厚なカスタードクリームが詰まった小ぶりの焼き菓子だ。ベレン地区のジェロニモス修道院近くにある有名店「パステイス・デ・ベレン」は、その昔修道院で作られていた時代の秘伝のレシピを守っており、常に行列待ちの賑わい。けれど、タルト作りの様子を店頭のガラス越しに見ていると子どもの頃のおやつの時間に戻ったようで、待ち時間も退屈知らずに過ぎていく。テーブルに置いてあるシナモンと粉砂糖をたっぷり振りかけ、2個も3個もパクついているおじいさん達も多い。ポルトガルの人はお菓子が大好きだ。
テージョ川に日が沈む頃、民族歌謡のファドが流れる石畳の道をオレンジ色の照明がぽっと照らし始める。幻想的に輝くサン・ジョルジェ城の姿を瞼と心に焼きつけて、愛すべき町の一日を締めくくりたい。

More Info
● ポルトガル観光局(日本語)
www.visitportugal.com/Cultures/ja-JP
More Info
●リスボン市観光局
www.visitlisboa.com



 
 

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