アイリッシュ・ループで歴史巡り
Avalon Peninsula
(2016年9月2日記事)

Newfoundland and Labrador


©Newfoundland and Labrador Tourism

アイリッシュ・ループで歴史巡り

ニューファンドランドは北米最東端に位置する島。「新しく見つけた土地」を意味する島の名は、1497年にこの地に足を踏み入れたイタリア人航海士が名づけたもの。タラの漁場として最高の立地にあるニューファンドランド島は、それを目当てに英国、アイルランド、フランスが主に入植し、彼らは島で戦争を繰り返した。その中で文化の融合も起こっていった、興味深い島。

島の中でも東端に位置するのがアバロン半島だ。アバロン半島の自然と歴史にじっくり触れることができるのが、アイリッシュ・ループという名のドライブルート。島の南東端にある州都セント・ジョンズからスタートして、ルート10をたどってアイリッシュ・ニューファンドランドと呼ばれるアバロン半島をぐるっとめぐり、ルート90とルート1を通ってセントジョンズへと戻る、海岸線を楽しむ美しいルートだ。途中には、興味に合わせて立ち寄れるスポットがたくさん。


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出発地点となるセント・ジョンズは、北米で最も古い町。郊外のシグナル・ヒルは、1901年に世界で初めて大西洋を横断する無線信号を受信した場所として国定史跡に指定されている。イングランドから送信されたモールス信号を受信した、現代通信の始まりとなる出来事だ。


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セントジョンズを出発したら、牧場や畑が続くエリアを抜けて、ベイ・ブルズの町に向かう。ここは1638年に要塞化され、その後約150年の間に何度もフランスからの攻撃を受けた町。ベイ・ブルズ沖の海底には、1696年に沈没した英国の戦艦 HMS サファイアが眠っている。フランスに奪われるのを防ぐために沈められたもので、1970年代に発見された。ニューファンドランドは、カナダで最も古い入植史に触れられる貴重な場所だ。第2次世界大戦中は戦艦の補修拠点として貢献したベイ・ブルズの港。戦争の終結直前にはドイツの潜水艦に囲まれていたとは思えないほど、今は静かな場所だ。


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崖に砕ける波の音、海鳥の鳴き声

ベイ・ブルズからは、ウィットレスベイ環境保護地区へのボートツアーも出ている。同環境保護地区は小さい4つの島と周辺海域から成るもので、何百万羽もの海鳥を見ることができるエキサイティングな場所。白と黒の羽にオレンジのくちばしが目立つパフィンの繁殖地でもあり、飛ぶのが苦手な彼らの、走ったりスキップしたりする姿がなんともかわいらしい。ボートツアーは5月から9月半ばまで、ビールとお土産つきで約2時間。ウィットレスベイへの上陸は原則として許可されていないので、このボートツアーが一番よく海鳥を観察できるチャンスというわけ。


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ニューファンドランドの東沿岸はザトウクジラのえさ場としても世界的に有名で、ワンシーズンに何千頭ものクジラが通過する。またここは海岸線を流れる氷山が見られるポイントでもある。氷山は、北極圏の氷河が溶けて流れてきたもので、別名「氷河の落とし子」。ニューファンドランド沖には、たくさんの氷山が海流に乗って流れてくる「氷山通り」と呼ばれる海域があり、タイタニック号が沈んだのもこの付近で氷山に衝突したため。見上げるほど大きい氷山は冷え冷えとしているが、青い空とのコントラストが美しい。氷山ウォッチングには5月か6月が最適。そこから夏にかけてがホエールウォッチングのベストシーズンだ。


©Dylan Furst

次のスポットであるフェリーランドには、1621年に作られたアバロン・コロニーの跡が。ここは英国の最初の入植地のうちの1つで、アバロンの名は、アーサー王物語において、アーサー王が最期を迎えた場所から取られている。その後オランダからの侵攻を受けるなど、複雑な歴史を持つここでは今でも発掘作業が行なわれており、見学も可能だ。復元された17世紀の台所や庭は必見。近くには歴史ある灯台とレストランがあり、美味しい食事にありつくことができる。島のグルメといえば、タラの舌や頬を使った名物のタラ料理や、木苺の一種のクラウドベリーのパイはぜひ試したいメニュー。またこの島では、氷山から解け出した水で作られた地ビールやウォッカが味わえる。


©Ezgi Polat

複雑な歴史を抱いて静かに佇む島

カッパヘイデンは、アメリカ植民地化のシンボルであるメイフラワー号が水を求めて立ち寄った村だ。そこからは6億2千万年も前の貴重な化石が見つかるミステイクンポイント環境保護地区が近い。また、村からはレース岬へのツアーも出ている。レース岬はタイタニック号が氷山に衝突した際に出した救難信号を受信して、エリア内のほかの船に伝えた場所。灯台は、ヨーロッパからの移民たちが最初に目にする北米の灯台として、19世紀から活躍を続けてきた。

そしてトレパシーを過ぎたら、北上が始まる。この地域はアイルランド訛りが強い英語を話し、アイルランドに住む人が驚くほど生活環境もアイルランドによく似ているのだとか。北上するとすぐにサーモニアー川に突き当たる。ここは名前から推測できるように、サーモン釣りの名所。また、サーモニアー自然公園ではニューファンドランド・ラブラドールに固有の30種の動物や鳥を見ることができる。1,200ヘクタール以上もの保護地なので広々としており、板張りの遊歩道で歩きやすい。そしてルート1を一路セントジョンズへ。


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©Newfoundland and Labrador Tourism/Barrett and MacKay

歩いて観光を楽しみたいという人には、イーストコースト・トレイルというトレイルも整備されている。セント・ジョンズから始まり、カッパヘイデンまで続く、長さ実に265キロのトレイルだ。曲がりくねった海岸線に沿って、断崖絶壁や古びた小さな漁村が続く風景が楽しめる。
 

©Newfoundland and Labrador Tourism/Barrett and MacKay

©Newfoundland and Labrador Tourism

Info
ニューファンドランド・ラブラドール州観光局
www.newfoundlandlabrador.com


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