旧チャンパーサック王国の首都
Champasak, Laos
チャンパーサック(ラオス人民民主共和国)(2013年3月1日記事)

Champasak, Laos

カナダからは少し遠いが、今回紹介したい場所はラオスにある。タイとカンボジアの国境に面したラオス南部のチャンパーサック県は、クメール民族発祥の地といわれる。そして18〜19世紀にチャンパーサック王国の首都として栄えたのが、メコン河西岸の町チャンパーサック。その後フランス領とな り、第二次世界大戦時には日本軍の司令下に置かれたここは、今でも周囲は手つかずの自然に恵まれ、近年エコツーリズムやコーヒー栽培地として注目を浴びている。動乱の歴史を包み込むようなゆったりした空気が流れる小さな町、その周辺に広がる遺跡と自然を満喫してみよう。

メコン河のほとりでの出会い

赤茶けた土道の両側に、ドアのない店が立ち並ぶ。中では古いミシン台に向かって縫製をする女性達と壁にかけられた色とりどりの布。店の入った建 物の上部は、対照的にクラシックなヨーロッパ風。そして南国の日差しを受けた背の高いシュロが、屋根の上まで勢いよく伸びる。
そんな風景が目に入るのどかなチャンパーサックで、メコン河沿いを歩いている時に出会ったリリはラオス系フランス人。家族とともにパリで育った彼女だが、数年前から単身ラオスに引っ越して伝統的な布を使ったアパレルブランドを立ち上げた。大地や岩肌の茶色、稜線の青色、トカゲのオレンジ色、そして幾何学模様… 素朴な木綿の布は、チャンパーサックの風景の中にある色や造形を写しこんだようだ。親切な彼女が案内してくれたのは、町の中心から8キロほど離れた場所にあるワット・プー。「山寺」という意味を持つこの遺跡群は聖なる山・カオ山の麓にあり、広大な敷地にヒンドゥーの影響を受けたクメール様式の石造物が続くユネスコ世界遺産。もともと5世紀頃に寺院が置かれていた場所だが、クメール王朝最盛期の11世紀に建造物の多くが作られた。急勾配の石段を登ってたどり着く本堂前から見下ろす展望は素晴らしく、一面に緑が生茂った湿度を感じる眺めがアジアらしい。仏教寺院だが、ヒンドゥーの神様像が多くて日本の寺院にないエキゾチシズムを感じる。暗い石碑に彫られた文様、その表面の苔の明るさ、仏像にかけられた衣…
ここで出会ったモチーフも創作意欲を刺激するのか、横ではリリが熱心に写真を撮っていた。

大地の郷から水の郷へ

次はチャンパーサックからバスに乗ってメコン河沿いのナカサンまで行き、そこからボートで河に繰り出そう。やがて中洲に現れる、さまざまな大き さの群島がシーパンドンだ。その数は全部でおよそ4000島。瀬戸内海の島でさえも約3000島なのだから、これだけの数の島が浮かぶメコン河のスケールを改めて実感する光景だ。最大のコーン島に降り立って島を散策していると、立派な橋が現れる。この橋はフランス統治下時代に作られた鉄道の忘れ形見。コーン島周辺は滝が多くて水流が激しく、当時のフランス人達は物資の運搬に頭を悩ませた。そこで1924年に鉄道を建設し、この鉄道橋でコーン島とお隣りのテッド島を結んだのだ。今では歩いて渡ることができる橋と近くに保存されている古い蒸気機関車は、島のシンボルになっている。コーン島はサイクリングにちょうどよい規模なので、貸自転車も人気がある。広がる米田や高床式の建物が続く未舗装の道を、風を受けて走り抜ければ気分爽快。鉄道好きなら島のあちこちに残る廃線跡や、道路の脇に無造作に置かれた木製のレールを探し回るのも楽しいだろう。島の下流にあるコーンパペンの滝は、メコン河最大の滝群とも東南アジア最大の流量とも言われ、通称「アジアのナイアガラ」。河に沿って滝が 10キロも流れ続けるスケールは、カナダのナイアガラの滝とはまた違う果てしない迫力なのだ。

More Info
● ラオス情報文化観光省(日本語)
www.lao.jp




 
 

Champasak, Laos