隕石の衝突から誕生したケベック州のリゾート地
Charlevoix
(2017年2月17日記事)

Québec


© TOURISME DU QUÉBEC / Maxime Pilon-Lalande
ケベックシティの東側に広がるシャルルボワ地方は今からおよそ3億5000年前、隕石の衝突によって生じた隕石孔の地。人間が住む隕石クレーターという地球上でも数少ない地盤で、ユネスコの生物圏保護区に指定されている。セント・ローレンス川北岸の悠久なる川辺とロレンシャン高原の壮大な樹木林を包括する、ワイルドさとフレンチカナダらしい古きよき文化を誇る魅力あふれる地方だ。

シャルルボワの中心は、セント・ローレンス川に並行して走る国道138号線の途上にあるべ・サン・ポール。ギャラリーがあちこちに現れ「芸術家のパラダイス」と呼ばれるアーティスティックな町だ。べ・サン・ポール発の芸術といえば、なんといってもシルク・ドゥ・ソレイユだろう。1980年代にこの町で結成されたエンターテインメントが、どれほど世界中で上演され愛されているかは誰もが知るとおり。雪に覆われたおとぎ話のような町並みや流氷の浮かぶセント・ローレンス川の景色も、あの幻想的な舞台のインスピレーションになっているのだろうか。べ・サン・ポールの町とシルク・ドゥ・ソレイユの世界を重ね合わせながら、ケベックに縁の深いアーティストの作品が集まるギャラリーの訪ね歩きも面白そうだ。


© TOURISME DU QUÉBEC / André Quenneville


© TOURISME DU QUÉBEC / Jean-Francois Hamelin

べ・サン・ポールから東に向かって40分ほど車を走らせると、東シャルルボワのラ・マルべに着く。こちらはリゾート地としてのシャルルボワ発祥の地だ。“白船の時代”と呼ばれる1825年から1965年、毎年夏になるとラ・マルべの川岸には白い豪華蒸気船が停泊して、避暑客がこの風光明媚な土地で夏を過ごしたという。彼らの好んだ滞在先は、シャルルボワ全体のシンボルであるル・マノワール・リシュリューホテル(現フェアモント・ル・マノワール・リシュリューホテル)。古きよき時代のリゾート客たちを迎え入れてきたポワント・ピックの崖の上の旅籠は、今も時が止まったような格式高い姿でセントローレンス川を見下ろしている。

© TOURISME DU QUÉBEC / André Quenneville

バラエティ豊かな春のスノースポーツ

優雅な避暑地としての歴史を持つシャルルボワだが、スノースポーツ好きにはまだまだ雪を楽しめる今の季節がたまらないはず。その魅力を堪能できる代表的な場所が、プティット・リヴィエール・サン・フランソワの「ル・マッシフ」スキー場だ。ケベック州はカナダで初めてアルペンスキー場が登場した州。今でもトップクラスのスキー場の多さを誇る中、ル・マッシフはケベックシティから車で1時間余りの距離と、裾野と山頂の両方からアクセスできる地の利のよさから人気が高い。初心者から上級者まで幅広く対応しているので、春休みの家族スキー旅行にもお勧めだ。併設のパブでは土曜日を中心とした毎週末の夕方にケベックのミュージシャン達のライブコンサートが催され、ゲレンデを熱く盛り上げてくれる。

雪量に恵まれたル・マッシフでは、スキーの他にもソリやクロスカントリー、雪山トレッキングが楽しめる。「シャルルボワの岬道」と呼ばれるトレイルコースに参加して高台に登れば、待っているのはクールド島をはじめとする島々がセント・ローレンス川に浮かぶすばらしい眺め。澄み切った空気の中で大河を見晴らし白銀を踏みしめる体験は、目にも心にも体にも忘れられないものになるだろう。 ところで様々な種類のアウトドアスポーツが楽しめるシャルルボワでも、ユニークなのか無謀なのか気になるのがウインターカヤッキング。ウインターといっても3月から4月に開催されるのだが、春らしい陽光が出つつも身を切るような気温で、雪や氷が浮かぶセント・ローレンス川は凍てつくような厳しさ。力いっぱいパドルを漕げばそんな中でも体がポカポカしてくるのだろうか。川を漕ぎ進めると、周囲にはつらら状に凍りついた滝が連続して現れる、滅多に見られない絶景が待っているという。普通のリゾートでは物足りなくなったエッジウォーカーの挑戦心をくすぐる、刺激的な冒険だ。


© TOURISME DU QUÉBEC / Vincint Brillant


© TOURISME DU QUÉBEC / Pierre Gouyou Beauchamps

とろけるケベックチーズに舌鼓!

大自然を満喫したあとはベ・サン・ポールに戻り、今度はチーズの町として美味しい再訪問をしてみよう。メインストリートのサン・ジャン・バティスト通りをはじめ地元の新鮮なチーズを味わえる店は多いが、ここは少し足を伸ばして見学や試食ができるチーズ販売所を訪れたい。町の中心から車で5分北上した138号線沿いのレトゥリー・シャルルボワは、1940年代にチェダーチーズ作りから始まった家族経営の会社。今では貴重なカナダ牛の乳で作る「1608」など、ケベックを代表するチーズの生産者だ。酪農やチーズ作りの歴史を学べる展示やタルトやリエットなど特産品の販売もあり、時間をかけて訪れたい施設。一方ここからすぐ先にあるメゾン・ダフィナージュ・モーリス・デュフールには、気鋭のチーズ製造者デュフール氏が生み出す名チーズが揃う。バターや胡桃を連想させる香りが特徴のセミハードタイプの「ミヌロン」や、カナダ・チーズ・コンクールで優勝したブルーチーズ「ル・シエル・ドゥ・シャルルボワ」はその代表作。ケベックチーズの現在進行形を知りたいなら、全6種のチーズを食べ比べてみよう。

そしてチーズ尽くしで締めるなら、最後は町中のチーズ料理のレストランへ。熱々にとろけるチーズフォンデュやラクレットを存分に堪能できるのもこの時期ならではのお楽しみ。料理とよく合うワインを持ち込んで、「Bon appetit!」と乾杯!

Info
シャルルボワ観光局
www.tourisme-charlevoix.com

ル・マッシフスキー場
www.lemassif.com

カヤックツアー
katabatik.ca

レトゥリー・シャルルボワ
www.fromagescharlevoix.com

メゾン・ダフィナージュ・モーリス・デュフール
www.fromagefin.com


Charlevoix