ノスタルジックなアメリカン・ホリデー
Coney Island, U.S.A.
コニーアイランド、アメリカ合衆国(2015年6月5日記事)

Coney Island, U.S.A.


ローレンス・ファーリンゲッティの詩集「心のコニーアイランド」やルー・リードの曲「コニーアイランド・ベイビー」をはじめ、数多の名作のタイトルになったニューヨークのコニーアイランド。レトロ感があふれる”遊園地の半島“は、近年では日本人チャンピオンを輩出したホットドッグ早食い大会開催地としても知られている。マンハッタンの中心から地下鉄で約60分。ノスタルジックな海辺の町に、今年も童心に戻れる夏がやって来た。


19世紀から続く夢の中へ

アメリカの古いドキュメンタリー映画を観ていると、コニーアイランドは訪れた人々に「ようこそコニーアイランド―世界のプレイグラウンド― へ!」と書かれた扉を開く。扉の向こうではピエロが笑い、呼び込みが手招きをし、ソフトクリームを手にした人達は誘われるまま次々にスリリングなアトラクションに乗り込んでいく。1927年誕生の木製ジェットコースター「サイクロン」がガタガタと不安を煽るような音を立てて頂上まで登り切ると、その後は息もつかせぬ急降下と急回転の連続! 響きわたる絶叫の嵐! 夜が更ければ占いブースに灯りがともり、妖艶なバーレスクの幕が開く…。


白黒フィルムに焼き付けられたこの光景は、ディテールに違いはあれどそのままの世界観で、今日も私達を迎えてくれる。とはいえ100年以上にわたる遊園地の歴史の中では、幾度も変化が訪れた。コニーアイランド初の遊園地スティープルチェースパークがオープンしたのが1897年。今でもコニーアイランドのシンボルとして健在の、ちょっと怖い笑顔の男性”ファニーフェース“はこの時登場した。次いでドリームランドとルナパークが開園。それらは「コニーアイランドの3大アイコン」と呼ばれて大隆盛を誇り、アメリカ最大の行楽地には世界中から何百万人もの行楽客が押し寄せた。けれど20世紀後半には火事などで客足が減少し、コニーアイランドは一時冬の時代を迎えて寂れきってしまう。近年になってニューヨーク市が再開発計画を開始し、只今その魅力が息を吹き返しつつあるところ。ルナパークは1946年に一度閉鎖した後、2010年に再登場したが、往年の雰囲気が忠実に再現され、今やニューヨーク市の歴史的建造物であるサイクロンも現役選手として活躍中。いつの時代もスリルと好奇心と欲望を思い切り開放してくれる場所―それがコニーアイランドだ。


怖いけど覗いてみたい、サイドショウ

コニーアイランドの風物詩といえば、夏の到来を祝うマーメイドパレード。人魚のコスチュームやボディアートでカラフルに変身した参加者が海辺の遊歩道をパレードする姿は、解放感とお祭り気分でいっぱい。今年は6月20日に開催される。6月19日から9月4日まで毎週金曜夜に打ち上げられるきらびやかな花火も見逃せない。そして大通りのサーフアベニューに面したコニーアイランド・サーカス・サイドショウは、一見の価値あり。剣を深々と飲み込む人、掌で火を作る人、大蛇を体に巻き付ける人等が、次々と仰天の芸を披露する。薄暗い小屋の雰囲気と相まって、怪しい異界に迷い込んだ気分に浸れることうけ合いだ。コニーアイランドが他と一線も二線も画するのは、ピカピカに消毒された昨今の行楽地の対極を行くところ。そんな個性が、舞台のパフォーマー達の姿に重なって見えるだろう。



Info
●ニューヨーク市観光局公式サイト
www.nycgo.com

●コニーアイランドUSAサイト
www.coneyisland.com