イルミネーションの季節を迎えるマイル・ハイ・シティ
Denver Colorado, United States
(2017年11月10日記事)

United States

 

標高1マイル(約1609メートル)の高さにあることから「マイル・ハイ・シティ」と呼ばれるコロラド州の州都デンバー。穏やかな好天が多い山岳都市として人気が高く、通信や経済の発達した近代都市と、ロッキー山脈とグレートプレーンズの双方に抱かれた大自然の懐という側面を合わせ持つ。冬を迎えるこれからの季節、デンバーの町はどんな顔を見せてくれるのだろう。

新たな息吹を吹き込まれたロウワー・ダウンタウンへ

レストランや劇場や美術館が充実したデンバーのダウンタウン。その魅力を探しに、まずはロドに行ってみよう。ロドとはユニオン駅を中心としたロウワー・ダウンタウンのこと。19世紀後半、大陸横断鉄道の開通を機に整備されたデンバー最古の歴史地区であり、20世紀半ばにドヤ街と化したものの、1990年代頃から再開発が進んで賑わいを取り戻している。とりわけクラシックな赤レンガ建築が多く残るラリマースクエアは人気が高く、建物群の外観はそのままにレストランやブティックやバーなどのテナントが入り、往年の趣を残した活気あふれるエリアとして生まれ変わった。食事や買物に訪れる建物の一軒一軒に長い歴史があるので、そのストーリーを紐解いていくのも町を知るよい方法だ。たとえばフロントナック・ビルは1860年代には社交場として栄え、禁酒法時代にはもぐり酒場、第2次世界大戦時に機械工場となり、自転車屋、整髪店と変遷を遂げた末に現在はダイニングバーとなっている。デンバーで最初の郵便局だったウットゥン・ビルは今やアパレルショップだ。時代や人や商売が変わっても変わらずに残る建物は、さながらデンバーの生き証人と呼べるだろう。

さらに再開発時に建てられたクアーズ・フィールドとペプシ・センターは、ロド復興のシンボル。MLBコロラド・ロッキーズのホーム球場であるクアーズ・フィールドは周囲に溶け込む赤レンガ造りの野球専用スタジアムで、昨年イチローがメジャーリーグでの3000本安打を達成した球場として記憶に新しい。ロッキーズの選手やファン達までも拍手喝采したあの感動を追体験しに、スタジアム見学ツアーもお勧めだ。一方ペプシ・センターはNBAのデンバー・ナゲッツ、NHLのコロラド・アバランチ、NLLのコロラド・マンモスの本拠地である他、コンサートホールとしても活躍する多目的ホール。奇しくも同じ年に着工し同じ年にオープンした、我らがトロントのエアカナダ・センターのような存在なのだ。

デンバーカルチャーの立役者アート&ビールを求めて

アート散策を楽しみたいなら、ギャラリーが集中するエリアに行ってみよう。サウスプラット川近くのリノ芸術地区には、ローカルアーティスト達を中心とした作品を展示するギャラリーが20軒以上並ぶ。ストリートを彩るグラフィティアートも、エリアのインダストリアルな雰囲気となかなかの好相性だ。それから市街南西部にあるサンタフェ芸術地区。こちらもプレコロンビア時代のアメリカ美術の宝庫ムセオ・デ・ラス・アメリカズを中心に、数多くのギャラリーやアトリエが集まるアートコミュニティとして盛り上がりを見せる。リノでもサンタフェでも、毎月第一金曜日に「ファーストフライデー」と呼ばれるイベントがある。ギャラリーでミニコンサートが催されたり、ガイド付のフリーシャトルバスが運行したりと、アートと市民の距離がぐっと近づく日が毎月やって来るとはうらやましい限りだ。そして本腰を入れて訪れたいのがデンバー美術館。収蔵数7万点以上に及び、グラフィックやテキスタイル、ネイティヴアメリカン美術やアメリカ西部美術など、常に数部門の展示が公開されている。世界的な建築家リベスキンド氏による鋭角的なデザインのメインエントランスは、近くにそびえるロッキー山脈とそこで採れる水晶をモチーフにした美術館の顔として知られる。デンバー美術館は、毎月第一土曜日が入場無料かつ18歳以下ならいつでも無料。芸術が育まれる町デンバーから生まれる作品に、これからも期待できそうだ。
ところでマイル・ハイ・シティ以外のデンバーの呼び名を紹介したい。その名は「ビールのナパ・バレー」。アメリカきってのワインの名産地ナパ・バレーのビール版とは、聞き捨てならない響きではないか。州全体でおよそ160軒と、醸造所の数では全米屈指のコロラド州。デンバーは30軒以上の醸造所が網羅されたデンバー・ビア・トレイル巡りやクラフトビールツアーに力を入れていて、ビール好きなら旅のメインテーマにしたいところ。市内でふらりと味わうなら、クラシックモダンな雰囲気が旅情を誘うユニオン駅構内のターミナル・バーや、駅の向かいにあるウィンクープ・ブリューイングに足を伸ばそう。80年代末に誕生したウィンクープ・ブリューイングはデンバー初の醸造パブ。アメリカの醸造協会で新進気鋭のビール職人に贈られるラッセル・シェラー賞の元となったラッセル・シェラー氏が創業メンバーの一人で、斬新なビールの数々を生み出した彼の店らしく圧倒的な種類の多さを誇る。常時30種類以上揃う地元のタップビールや、食事とビールのペアリングメニューなど、ここに来れば様々なビールの楽しみ方を発見できるだろう。
今年も11月24日のサンクスギビングデーから大晦日までは、夕暮れになると町の中心がイルミネーションに包まれる。デンバーのダウンタウンのきらめきを体験したいなら、今からがベストシーズンだ。


Info
デンバー観光局(英語)
www.denver.org

コロラド州観光局(英語)
www.colorado.com

コロラド州観光局(日本語)
www.visitcolorado.jp

 

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