恐竜たちが眠る荒涼の地
Drumheller
(2016年7月15日記事)

Alberta

©Canadian Tourism Commission

恐竜たちが眠る荒涼の地

アルバータは大平原の州として有名で、穀倉地帯にふさわしい広大な麦畑や牧場が延々と続く。だが州の南部を流れるレッドディア川周辺はおもむきが異なる。そこはバッドランドと呼ばれる、恐竜の化石発掘場として世界的に有名な地域。世界で最も化石が発掘されている地域と言っても過言ではない。作物が育ちにくい荒涼とした地であることから、その名がついている。


©Tourism Red Deer

氷河期のころ、この一帯は氷河でおおわれていたという。その氷が大地を削り、氷河の雪解けによる洪水がそれをさらに侵食して、この地域を形作った。浸食された川岸、枯れた谷の連なり、地表に見える茶色い縞模様は、地球の歴史を静かに伝えている。浸食によって姿を現したのは、7千万年前の白亜紀という、恐竜が生きていた最後の時代の地層。1884年にここで初めて化石が発見されて以来、現在までにさまざまな種類の化石が何万個も発見されてきた。


©Rhonda Law @rlawyyc

このバッドランドの旅の中心となるのは、ドラムヘラーという街。30体以上の恐竜のオブジェが点在し、地球のロマンに触れんとする観光客たちの気分を盛り上げてくれる。観光案内所の近くには、「世界最大の恐竜」と呼ばれる、高さ約26メートルものグラスファイバー製のティラノサウルス・レックスの模型がそびえ立つ。実際のティラノサウルスの4.5倍ほどの大きさだ。中を上ると展望台がありバッドランド一帯を見渡すことができる。


©Drumheller and District Chamber of Commerce

©Neil Zeller @neil_zee

氷河が削り出した化石の渓谷

ここを訪れたなら、侵食によってできたキノコ型の土柱「フードゥー」は必見。柔らかい土がどんどん侵食され、かたい岩の下だけ土が残って柱のようになったものだ。むき出しの大地からフードゥーが気ままに生えている様子は、地元の人々からは「マッシュルーム」と呼ばれるのも納得のキノコぶり。また、街にはレッドディア川にかかるスター・マイン橋という117メートルの歩行者用の吊り橋があり、金網の足下は川がじかに見えて少々恐ろしいが、眺めは抜群。これはかつてカナダ西部最大の石炭の生産量を誇ったドラムヘラーで炭鉱夫たちが使った吊り橋で、アトラス炭鉱歴史地区ともども、街の歩みを見られるスポット。

©Travel Alberta

©Laurie Shannon

©Travel Alberta

©Canadian Tourism Commission

ドラムヘラーを訪れたら次に足を延ばすのは、北西に広がるミッドランド州立公園内にあるロイヤル・ティレル博物館だ。広い敷地に世界最大級の恐竜化石の収集、展示を誇る、アルバータ州で最も人気のある観光スポットの1つ。先に述べた、1884年にドラムヘラー渓谷で最初に発見された「アルバートサウルス・サルコファグス」の化石は、石炭を探していた地質学者ティレルによって発見されたもので、この発見の功績をたたえ、博物館には彼の名がつけられた。古生物時代の魚類の標本から世界有数の恐竜の化石まで、16万点もの動植物の標本を、39億年以上の地球の生命の歴史をたどりながら見ることができる。全体図もはっきりしない化石をつなげ、体系づけて、当時の地球の様子を探ってきた学者たちの途方もない努力の結晶だ。ほかにも、いわゆる標本のような形に仕上げられた化石だけでなく、発見当時の周辺の土がついたままの形など、さまざまな形態の展示が好奇心をかきたてる。専門用語が多いので、日本語オーディオガイドをレンタルするのがおすすめ。実際の化石復元作業の様子も見学できる。


©Royal Tyrrell Museum

©Royal Tyrrell Museum of Palaeontology

地層に眠る巨大生物たち

ドラムヘラーの街から南に100km離れると、1979年にユネスコの自然遺産に登録された州立恐竜公園があり、ここでは実際の発掘現場を見学できる。広大な敷地には無数の化石がごろごろ。かつてはどれほどの数の恐竜たちがこの地を闊歩していたのだろう? 恐竜の化石が発見されたことによって、この地がかつては木が生い茂る亜熱帯で、恐竜たちの楽園だったことがわかっている。ここで発掘された化石の多くは、ロイヤル・ティレル博物館に持ち込まれて復元される。一般公開されているのは総面積のわずか10%未満。残りは自然保護区に指定されており、ガイドつきのツアーに参加することで見ることができる。

世界でもトップクラスの恐竜化石発掘の地、バッドランズ。2015年6月には、トリケラトプスの新種「レガリケラトプス」の化石がこの地から発見されたことが発表されており、この地が恐竜学のホットスポットであるのと同時に、まだまだ恐竜の世界が神秘に満ちていることが証明された。今もたくさんの恐竜たちが土の下で眠り、発見されるときを待っている。ドラムヘラーの街は、トロントから飛行機で4時間ほどかかるカルガリーから、さらにバスで2時間。少し遠いが、一度は足を運びたい名所。観光スポット間は距離があるので、カルガリーから出ているツアーに申し込むのがベスト。ドラムヘラーを中心にさまざまなツアーが組まれている。


©Travel Alberta/Roth & Ramberg

©John Halliday @j7t1h

Info
ドラムへラー観光局
www.traveldrumheller.com

ロイヤル・ティレル博物館
www.tyrrellmuseum.com

州立恐竜公園
www.albertaparks.ca/dinosaur.aspx




 
 

Drumheller, Alberta