混沌の迷宮都市
Fez
フェズ(2011年08月05日記事)

Fez, Morocco

9世紀初めにモロッコ最初のイスラム王朝、イドリス朝の都となった同国最古の都フェズ。フェズのメディナ(旧市街)は世界一の迷宮都市とも言われるように、迷路のように入り組んだ道の街として有名である。また世界文化遺産に登録されているこの街には、世界最古の大学であったカラウィーン・モスクがあり、建造以来、文化と思想、文明の中心地であり続けた一面も持つ。そんなフェズの旧市街へ入ると、そこには中世の世界が待っている。出口の無い迷路を思わせる道が続き、複雑に入り組む路地は、その数1000とも言われる。

迷路の街を彷徨う

迷路の街、フェズ。旧市街を訪れると、その言葉の意味がよく分かる。車が通れないほど、曲がりくねって続く細い路地。ここでは代替輸送機関であるロバが狭い道を堂々と行き交う。その道は起伏に富み、上がったかと思えば下り、曲がれば突然、人気の無い裏路地に出て行き止まる。建物が入り組んでいる場所には日の光も届かず、昼なお薄暗い。本当に一歩道を間違えると、2度と同じ場所に戻れないのではないかと思う街、それがフェズの旧市街だ。
その市街地は、驚くほどの雑踏と喧騒に包まれ、スーク(市場)からは香辛料の香りが漂い、旅行客相手のガイドが次から次へと声をかけてくる。日本語で呼び掛ける土産物屋の店主や狭い路地でサッカーに興じる少年達。昼間から成人男性が集っているカフェ、時折モスクから流れるアザーン(イスラム教における礼拝の呼びかけ)等々。五感で感じるこの街の全てに、随分と遠い国まで来たと実感する。 しかし、この街の最大の楽しみは歩くこと。更に言えば迷うことである(迷っても前述のガイドがそこかしこにいるので大丈夫)。次に何があるか、どんな光景に出逢うか、予測不可能な街を彷徨うことにこそ、この街の楽しみがある。
さて、そんな迷路のように家々がびっしりとひしめくフェズ旧市街を見下ろすなら、メディナ北側の高台にあるマーリン朝の墓地に行くことをお勧めする。それも出来れば早朝、まだ日が昇る前に…。夥しくどこまでも続く家々、そして点在するモスク。街がまだ起き出す前の静寂は、これがあの喧騒の街と同じなのかと疑うくらい、ひっそりとしている。そして、静寂を破るように最初のアザーンが大音量で流れ、フェズの1日が始まる。静かに夜が明け出し、街に光が差し込む。何百年、そしてこれから先も何百年と同じように続くと思われる光景を眼下に見渡すと、自分が悠久の歴史の中に佇んでいることを思わずにはいられない。

モロッコの味、ミントティー

旧市街を歩き疲れたら、ミントティーを楽しんでみよう。モロッコ人にとって欠かせないこの飲み物は、スペアミントの香りに甘みと苦みが交じり合う独特の味で、疲れた体を癒してくれる。イスラム教を信仰するモロッコの人々は、飲酒が禁じられている為、アルコールの代わりにミントティーを楽しむのだ。暑い国のモロッコだが、基本的にミントティーはホットで味わう。その熱さとミントの発汗作用により、飲み終わると汗をかいているが、これが体の熱を冷ます効果をもたらすのだ。そして、お茶に入れられた砂糖で、暑さで消耗した体力を補う。最初は甘過ぎると感じるかもしれないが、飲み進むと、2杯3杯と飲みたくなる不思議な飲み物だ。



〈文/児玉 清隆〉




More Info

●モロッコ政府観光局
www.visitmorocco.com

 
 
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