北大西洋 空のクロスロード
Gander, Newfoundland and Labrador
ガンダー(ニューファンドランド・ラブラドール)(2014年6月20日記事)

Gander

© Newfoundland and Labrador Tourism, Barret & MacKay Photo
カナダの最東端に位置するニューファンドランド・ラブラドール州。数十年前までは独立国だったニューファンドランド島は、独自の生活様式と文化を持つ地域。その中でこの小さな町ガンダーは、少々特異な存在だ。人口1万人弱の町は普段はいたって静かだが、いざという時は飛行機が北米中からガンダー国際空港に集結する。カナダ空軍との共用滑走路を持つ空港は、大西洋のハブ空港として第二次世界大戦時には多くの戦闘機が駐屯し、アメリカ同時多発テロ事件の際にも多数の緊急便を受け入れた底力を持つ。トロントからの直行便は季節便が1日1本程度で、多くはハリファックスやセントジョンズ経由でそこから小型機でさらに飛ぶ。乗継便でここまでやって来るのは、真の飛行機好きに違いない。

© Newfoundland and Labrador Tourism, Barret & MacKay Photo

© 金沢知子

© 金沢知子

小さな町の大きな空港

ガンダーの標語は「May Gander soar (ガンダーが舞い上がるように)」。飛行機のオブジェが置かれた街角で人々に見どころを聞くと、誇らしげに「空港だよ」という答えが返ってくる。ここではまさしく空港が町の顔。ガンダー国際空港のメインロビーの天井や柱にはプロペラが飾られ、100年以上前の飛行機の部品や写真資料がずらりと並ぶ。さながら航空史博物館だ。現在の空港の前身であるニューファンドランド空港の開設は、1938年に遡る。当時はまだジェット機がなく、北米とヨーロッパ間を飛ぶ飛行機の給油港として多くの飛行機が離着陸した。ほどなく第二次世界大戦が勃発して、ガンダーは北米から飛び立つ戦闘機の拠点となり、町にはアメリカ、イギリス、カナダから多くの軍関係者が住むようになった。

2001年にアメリカ同時多発テロ事件が発生した直後には、イエローリボン作戦の中核となって多くの航空機を迎え入れたガンダー国際空港。約6600人の乗客やクルーがこの町に緊急上陸した時、町はすぐさま学校や大きな建物を避難所として提供し、さらに一般市民がお弁当を作ったり自宅を提供して人々を迎え入れた。町を歩いていると「どこから来たの?」と人懐っこく声をかけられることの多いガンダーらしい、温かいエピソードだ。

市街を南下してトランス・カナダ・ハイウェイ沿いに面した北大西洋航空博物館も、見どころのひとつ。建物の 外では古い小型機が何機も羽を休めているので、入口はすぐにわかる。カナダには数館の航空博物館があるが、こ こは大西洋の航空史を知るには重要な存在。建物の奥は本物のプロペラ機ダグラスDC-3のコックピットになっており、実際に操縦席に座ってのシミュレーション運転をすることができる。

ニューファンドランド産 バナナ・スプリット?

© Newfoundland and Labrador Tourism

北太平洋航空博物館でパイロット気分を味わった後は、コックピット越しに望んだガンダー湖に足を伸ばしてみ たい。ガンダーの町を真ん中にして左右56キロに広がる湖は、この周辺の町の貴重な水源。凍てつく長い季節をよ うやく抜けだして太陽を享受できる今、対岸に鬱蒼としげる白樺林を眺めながら佇んでいられることが感慨深い。

ハイウェイを西に約10キロ走ればリトル・ハーバーと呼ばれるマリーナがあり、ボートに乗ったりトレイルコースに出かけたりと、恵まれた自然の中でのどかな時間を存分に楽しめる。飲食店の少ないガンダーだが、町の東寄りにあるロー大通りには地元らしいレストランがちらほら。そのうちの一軒で、名前が気になる「ニューファンドランド・バナナ・スプリット」を頼むと、バナナの上に、この土地特産のブルーベリー、クラウドベリー、パー トリッジベリーの3種のフルーツソースがかかったデザートが登場。百聞は一見にしかずで「北国ニューファンド ランドでバナナが採れるの?」という疑問はまたたく間に霧散していった。


Info
● ガンダー観光サイト
www.destinationgander.com