ブリティッシュコロンビア州が誇るワインの郷
Kamloops
(2017年5月5日記事)

British Columbia


© Tourism Kamloops
先住民族シュスワップ族の言葉で「川の出会う場所」という意味を持つブリティッシュコロンビア州南部の町カムループス。その名のとおりトンプソン川とカムループス湖の合流地点にあり、古くから先住民族達が大自然と共生する地域だった。ブリティッシュコロンビア州第3の規模のこの町の年間日照時間は平均 2,000 時間以上で、カナダで最も太陽に恵まれた都市のひとつ。春は早々に訪れ、冬の寒さも穏やかな気候に育まれたカムループスの特産物の筆頭がワインだ。毎年恒例のカムループス・ワイン・フェスティバルの開催ももうすぐ。最高の天気の下で生まれた豊かな味わいに魅了されてみたくなる。


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太陽に愛された大地で乾杯

カムループスのあるトンプソン・オカナガン地方は、カナダでもめずらしい砂漠を擁する地方。カナディアンロッキー最高峰のロブソン山やナイアガラより高いヘルムケンの滝まであるとなれば、どれだけすばらしい自然の宝庫か想像できるだろう。この地方はまた「ブリティッシュコロンビア州のワイン造りのハブ地点」と呼ばれており、そのふところで生まれるワインには大いに興味の湧くところだ。愛好家達が向かう先はカムループス・ワイン・トレイル。土壌と気候が重要なワイン生産では、常に同じクオリティのワインが作れるわけではない。カムループスに比較的新しいワイナリーが多いのは、地球温暖化が冬の寒さを緩め高品質なワイン生産に一役買っているから。そのためフランスのワインの名産地ブルゴーニュ地方と似た気候となり、加えて長い日照時間や降水量の少ない半乾燥地帯など諸々の条件がそろって、今注目のワイン生産地となったのだ。ワイナリーツアーにはトンプソン川沿いのワイナリーが提携しており、カムループス市街からテーマ別の日帰りツアーが多く出ているので、気軽に出かけてみよう。ゆったりと流れるトンプソン川を眺めながら、リースリング種やシャルドネ種、ピノ・ノワール種といった白ワインや赤ワインの幅広いテイスティングを楽しむのがカムループス流の贅沢なひとときだ。


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そして今年も5月6日から13日まで、カムループス・ワイン・フェスティバルが開催される。第19回目になる今回も、目玉は最終日のテイスティング・イベント。ブリティッシュコロンビア州産ワインを中心に約250種以上のワインが揃うとあって、ローカルワインを知るにはぴったりの機会だ。ワインで東西対決ではないが、オンタリオ州ワインとの違いを比べてみるのも面白い経験になるだろう。


©Mary Putnam


©Mary Putnam

車を飛ばして宇宙の中心へ

それから少し先になるが、カムループスの夏は先住民族の祭りパウワウの季節。カナダ西部で最大となるカムルーパ・パウワウの開催地のカムループスは、彼らの伝統と文化に触れるには最適の地となる。羽飾りや毛皮をあしらった色鮮やかな衣装で舞い、魂に触れるような歌を唄い、シャーマニックなドラムを叩くネイティブ・カナディアン達の熱いエネルギーが響いてくるのを体感してみてほしい。そして先住民族についてより深く知りたくなったら、セクウェペン・ミュージアム・アンド・ヘリテージパークへ。カムループスに古くから住むシュスワップ族の口承伝説や神話等を紹介する博物館と2000年以上の歴史がある彼らの居住地などを巡るトレイルコースを含む公園が一体化した、インドアとアウトドアの両方が充実した施設だ。ところで時に神秘や畏怖の念すら抱かせられるカナダの大自然だが、カムループス近郊にはそんな思いを裏付けるようなスピリチュアルな地点がある。それが宇宙の中心―センター・オブ・ジ・ユニバースだ。カムループスから車を約2時間北東に走らせた場所にある小さなヴィデッド湖付近は、ゴールドラッシュ時代に開拓され1930年代には金銀銅の採掘場だった。

閉山後は釣り人の地となっていたのだが、1980年のある雪の日にチベット僧が現れて湖を見下ろす丘を「宇宙の中心である」と告げた時から事態は一変。その後チベット仏教の高僧達が訪れ様々なテストを行なった上で、彼らはまさにここが宇宙の中心だと確信を持ったのだ。以来野草生い茂る丘の上にはチベットの旗がたなびき、聖地巡礼に訪れる人が絶えることはない。しかし実はここ、200年以上前からネイティブ・カナディアン達にとっても特別な場所だったそうだ。なぜこの場所が特別視されるのかについては、地中に多く含まれる金属成分が身体に反応するのではないかという説もある。時代や文化によって捉えられ方は違うけれども、大自然の力がみなぎるパワー・スポットなのは間違いないだろう。


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それからカムループスらしいアクティビティに化石探しもある。この辺りは紀元前は地帯一体が内海だったため、岩層を掘り起こすと地質時代に閉じ込められた様々な動植物が発見される。カムループス湖岸のペインテッド・ブラフス州立公園など、トレイルと化石採掘を一緒に体験できる場がごく身近にあるとあって、コツコツ岩を叩いて化石採集をする人々の姿も珍しくない。「ちょっと宇宙の中心まで」、「そこまで化石を探しに行こう」。何気なくそんな言葉が出て来るカムループスは、素朴な顔をしたとてつもない場所なのかもしれない。


©Tourism Kamloops


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Info
カムループス観光局
www.tourismkamloops.com

カムループス・ワイン・トレイル
kamloopswinetrail.com

セクウェップ・ミュージアム・アンド・ヘリテージパーク
www.secwepemcmuseum.com

 

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