ヨーロッパ最大規模の骨董市へ
Lille, France
リール(フランス共和国)(2014年8月15日記事)

Lille, France

OT Lille©maxime dufour photographies
ロンドンとパリを結ぶ鉄道ユーロスターが停車するリールは、フランス北部ノール県の県庁所在地。主要産業だった繊維業や鉄鋼業が廃退した1980年以降も、英仏海峡トンネル開発の波に乗って発展を続けている、この地方ではひときわ賑わいがある大きな町だ。中でも毎年9月最初の週末は特別で、ヨーロッパ最大規模の骨董市が開催され、町からはみ出しそうなほどの人と物が溢れかえる。長い歴史を持つヨーロッパは骨董品やヴィンテージ品の宝庫。年に一度の大骨董市、アンティーク好きなら一度は訪れてみたい。

OT Lille©maxime dufour photographies


OT Lille©maxime dufour photographies


お宝もがらくたも大集合!

9月初頭のリールの気温は平均20℃程度。寒からず暑からず、晴れた屋外はすこぶる気持ちいい。フランスで も夏のバカンスが終わって新学期を迎えるこの季節、人口約23万人のリール首都圏に200万人が押し寄せて来る。

膨大な数の人々が目指すのは、大骨董市ラ・ブラドゥリー。フランス第2の規模のレンヌの骨董市は来場者数約40 万人だから、その規模はケタ外れだ。ブラドゥリーの起源は12世紀に遡る。当時8月15日の聖母被昇天の後の数日間だけリールの住民以外も商売することが許され、市が立つようになったのが始まりとされている。16世紀初頭には地元の使用人が雇い主から「日の出から日没の間だけ使い古した物を売ってよし」という許可を得て、調理器具や皿などを売っていた。フランス革命後の19世紀になると、リールの外から王党派やブルジョワ達が身の回り品を売りに来るようになり、現在の骨董市の原型が形成された。

21世紀の今日、出店数は約1万軒。街中の通りはどこもかしこも車両通行止めになり、のべ100キロ以上にわ たって貴族が所有した美術工芸品から屋根裏で眠っていたがらくたまで並べられた光景は圧巻だ。中には美術館で 保存した方がよさそうなとんでもなく古びた物や、誰が買うのか玉子の空箱が雑然と売られていて、土曜日から日 曜日まで通しでもとても全部見て回れそうにない。1000年近く続くブラドゥリーの歴史を背負った物の多さに途方に暮れてしまうかもしれないが、古本や古家具などジャンルごとにエリアが固まっているので、見たい物の場所に目星をつけておけばどうにか迷宮抜けできそうだ。

骨董散策の合間や〆には、ブラドゥリーの風物詩であるムール貝とフライドポテトが待っている。歩道に出現する黒々とした貝塚こそ、この2日間で消費されたムール貝の貝殻。毎年総量400〜500トンにもなるそうで、各レストランとも一番高い貝塚作りを目指して熾烈な競争を繰り広げる。かくして祭りの後には大人の身長ほどもある小山のような貝塚が残り、骨董市の大いなる賑わいを無言で物語る。

巨大チューリップに見送られて

OT Lille©Laurent Ghesquière

OT Lille©Laurent Ghesquière

骨董市の他にも見どころの多いリールだが、そのひとつが博物館として公開されているドゴール将軍ことシャル ル・ド・ゴール大統領の生家。第2次世界対戦で亡命政府「自由フランス」を率いた歴史的英雄は、当時の慣習に 従ってここ旧市街にある母方の祖父母の家で生まれた。彼が洗礼を受けたサンタンドレ教会も歩いて4分程の距 離にある。 リールの表玄関である国鉄リール・ユーロップ駅まで来ると、そこは近代的な建物がそびえ立つウラリール地区。 ベルギーやイギリスへの国際線が発着するユーロップ駅と国内線が乗入するリール・フランドル駅を中心とした丸 の内のようなビジネスエリアなのだが、そこで異彩を放っているのが「シャングリラのチューリップ」という名の巨大なオブジェ。極彩色の花びらや葉っぱに描かれた水玉模様はどこか見覚えが…そう、これは日本人アーティスト草間彌生氏の作品だ。リールという理想郷を離れる時、咲き誇るチューリップがきっと強烈な印象を残してくれるだろう。


Info
● リール観光局&議会局サイト
www.lilletourism.com