聖母マリアが降り立った奇跡の地
Lourdes, France
ルルド(フランス共和国)(2013年2月1日記事)

Andorra

ルルド― フランス南西部とスペイン国境に広がるピレネー山脈に囲まれた町を知らなくても、その名をどこかで耳にしたことがある人は多いはず。
それは今から150年以上前にこの町で少女ベルナデッタ・スビルーの前に聖母マリアが現れ、湧き出た泉の水で難病が次々に治ったという話が広まり、ついにローマ法王庁から「奇跡」と認められて年間600万人が訪れる世界的な巡礼の地となったためだ。
大聖堂を中心とした小さな町には心なしか白く輝くような清潔感があり、周囲の山々が作る美しい稜線と相まって明るく素朴な雰囲気が漂う。
毎年2月にはベルナデッタを祝して、地元の人々だけでなく世界中から集った信者達が静かに町中を行進する。肌寒い冬の夜に松明の光のうねりが流れ行く様子は、まるで夢幻世界に入ってしまったかのよう。今年もルルドでは、篤い信仰心が生み出す光景が繰り広げられるはずだ。

現在も続く奇跡の物語

ルルドはパリ・モンパルナス駅から直通の高速鉄道で6時間。この地に聖母マリアが降り立ったという伝説は、1858年2月11日に始まった。

町の西側、ポー川ほとりにある洞窟のそばで薪拾いをしていた少女ベルナデッタの前に現れた聖母は、それ以降数回にわたって彼女の前に現れ「洞窟の水源を掘って水を飲み、顔を洗いなさい」と告げる。言われたとおりに洞窟を掘り起こすと確かに水が流れ出し、その水を飲んだり浴びたりすると病気が治るという奇跡の泉が誕生した。

大聖堂へと続く参道にはずらりと土産物店が並び、宗教は異なれど日本の神社と共通する眺めが広がっている。その一軒に入ると、小さなガラス瓶やマリア様の形をした容器が所狭しと並んでいる。次の店も、その次の店も、どの店も同じように。それらは泉から湧き水を持ち帰るための入れ物だ。白亜の大聖堂や水汲み場の周りには、遠方からやって来た車椅子の参拝者の姿が目立つ。

整備された今では蛇口から湧き水を汲めるので、時には車の荷台いっぱいに運んでいく人も…。誰もが自由に汲めるので、地元の人達にとっては生活に欠かせない存在だ。病気治癒や交通安全等々のご利益があるとされる教会や聖人像の多いフランスだが、ルルドは特別。何しろ、ルルド国際医療委員会という機関がこの沸き水で病気が治ったという患者のカルテの検証や追跡調査を繰り返し、ローマ・カトリック教会から「奇跡」が認可されるのだ。これまで認められた数は1862年以来のべ68件。約7000件に及ぶ申請があったというから、おいそれと認められるわけではない。昨年10月には1960年代に起きたケースが認可されて話題になった。

聖ベルナデッタを祝う大行進の夜

今年も3回目の聖母出現のあった2月18日の夜、聖女となったベルナデッタを祝福する行進が行なわれる予定だ。教会広場にある聖心教会から歩き始めた人々は、フランボーと呼ばれる松明をかざしながらゆっくりと歩を進める。大通りや路地を抜け、博物館として公開されているベルナデッタの生家の横を通リ抜ける。口々に歌われる賛美歌がこだまし、オレンジ色の光がゆらめく向こうに、人々の穏やかで敬虔な表情が炎に照らされて浮かび上がる。町全体が信仰と喜びに包まれているのを実感しながら、長い長い行列が大聖堂前に行き着き無数の灯火の海を目にする時、今この瞬間こそが奇跡なのだという感慨が溢れてくるだろう。
最後にベルナデッタのその後について。修道女となり1872年に35歳で生涯を終えた彼女は、生前のままの姿で今もフランス中央部ネヴェールの修道院に朽ちることなく横たえられている。穏やかで確信に満ちた表情を浮かべながら、聖女は私達の前に姿を現し続けているのだ。

More Info
● ルルド観光局
www.lourdes-infotourisme.com
● ルルド大聖堂
en.lourdes-france.org




 
 

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