アンデス山間の空中都市
Machu Picchu, Peru
マチュピチュ(ペルー共和国)(2012年3月16日記事)

Machu Picchu, Peru

1983年ユネスコ世界遺産に認定されたマチュピチュは、ウルバンバ渓谷とアンデス山脈の峰々に守られたインカ時代の都市遺跡だ。熱帯雨林気候と山岳地帯の気候がぶつかり合う雲霧林地帯に位置するこの山上の遺跡群は、しばしば全体が霧に包まれ神秘的な姿で訪れる者を悠久の彼方へと誘う。
その姿が空中からしか確認できないことから「空中都市」と呼ばれるマチュピチュだが、世界的に有名になった今でも決して交通の便がよいとは言えない。クスコやオリャンタイタンポから麓にあるマチュピチュ村まで列車に揺られ、そこからバスに乗り換えて急勾配をひたすら登り、険しい山道の果てにようやくその入口が現れるのだ。
インカ第9代皇帝パチャクティ時代の1450年頃に建設されたといわれる遺跡群は、広場を中心にして神殿の点在するエリアと居住エリア、そして段々畑で形成される。車輪と文字を持たなかったインカ文明は、500年経った今もなお堅固な石組みや水路建設の卓越した技術など多くの謎を残したままだが、そもそもこの都市が何のために作られたのか、どのように機能していたのかもわかっていない。1911年にアメリカ人探検家ハイラム・ビンガムによって発見されて以来、研究が続けられている最中なのだ。
マチュピチュを散策していると、目の前の遺跡と遠方の山が同じシルエットに見える場所がある。当時の人々が周囲の景色を石で復元したのがわかる面白いポイントだ。そして、最も見晴らしのよい場所に設置された石柱は日時計だったとされる。太陽神インティを崇め、アマスア・アマユア・アマケア(盗まず・騙さず・怠けず)の掟を守ったインカ人達の時を刻んでいたのだろうか。出口へと続く段々畑を通りすぎる時、沿道でリャマ達がのんびりと座り込みながら立ち去る者を見送ってくれる。

ワイナピチュ登山に挑戦

時間と体力に余裕があれば、マチュピチュ山に隣接するワイナピチュ山登山に挑戦するのもいい。断崖の小道を登り切って標高2690メートルの頂上から眺めるマチュピチュ遺跡の姿は、一面を取り囲む圧倒的なアンデスの峰々とともに瞼に焼きついて離れないだろう。
マチュピチュの太陽の神殿に対し、ワイナピチュの下山途中には月の神殿がある。こちらは洞窟内に作られた静謐な神殿で、ワイナピチュがマチュピチュと対になった峰だということを実感できる。なおワイナピチュ登山は事前予約が必要なのでお忘れなく。

インカ帝国の首都クスコへ

マチュピチュ訪問の拠点となるクスコは、マチュピチュ村から鉄道で約3時間半。インカ文明の誕生と繁栄そして滅亡の舞台となった古都の美しい街並みには、伝統と現代的な生活が融け合う。素顔のクスコを体感したいなら、活気あふれる中央市場がお勧めだ。所狭しと並ぶ地元の食材や伝統工芸品、そして人々の飾らない日常と出会えるに違いない。
インカ時代に黄金や銀の装飾で埋め尽くされていた太陽神殿コリカンチャはスペイン軍征服後に破壊されてサント・ドミンゴ教会へと変貌したが、「カミソリの刃1枚さえも通さない」石壁をはじめ、インカ帝国時代の建造物の一部が現存する。歴史や文化の移り変わりを証言する興味深い折衷建築だ。毎年6月に開催されるインティライミ(太陽祭)ではこの教会からパレードが出発し、インカ軍とスペイン軍の戦場となったクスコ郊外のサクサイワマン遺跡前で一大セレモニーが繰り広げられる。
首都リマをはじめペルー国内外の主要都市と空路で結ばれるクスコだが、実はマチュピチュよりさらに高地の標高3400メートルにあるため空気がぐっと薄くなる。高山病に罹らないように体調を整えて、コカ茶を飲みながら歴史と自然の壮大さに身も心も委ねよう。

More Info
ペルー観光公式ホームページ(日本語)
www.peru-japan.org
 
 

Machu Picchu, Peru