ケベック・マリタイムの自然に育まれた美食の島々
Magdalen Islands, Quebec
マドレーヌ諸島、ケベック州(2015年8月7日記事)

Magdalen Islands, Quebec

©TOURISME ÎLES DE LA MADELEINE / Michel Bonato
セントローレンス湾に連なって浮かぶマドレーヌ諸島は、砂丘でつながった島々と近くに寄り添う小島から成る細長く伸びた諸島。ケベック州とニューブランズウィック州とニューファンドランド・ラブラドール州のちょうど真ん中に位置するロケーションが独特の歴史を刻み、島文化が守られ続けているのが魅力的だ。海の幸と大地の幸が豊富に収穫されるこの時期は、地産地消のグルメな出会いが待っている。

©TOURISME ÎLES DE LA MADELEINE / Michel Bonato

厳しい環境で育まれたアカディア人の文化と食

北はグロッシィル・エ・グランダントレから南はアーヴル・オベール島までつながった島々、その右側にぽつんとエントリー島。それがケベック州東部、ガスペジー・マドレーヌ諸島地域に属するマドレーヌ諸島の全貌だ。ケベック州ではあるものの、ここは同じフランス系でもケベコワでなくアカディアンの人々が多く生活する場所。ニューブランズウィック州やノヴァスコシア州の一部に住むアカディア人は、18世紀のフレンチ・インディアン戦争時にマドレーヌ諸島に移住した。今年もナショナル・アカディアンデーの8月15日にアーヴル・オベール島で開催される伝統行事“タンタマール”で、アカディア人のバイタリティの象徴だという騒音をかき鳴らしながらパレードが行進する。たしかに北米で最も風が吹きすさぶといわれるマドレーヌ諸島付近では嵐が頻発し、周囲の海底に沈む難破船は400艘以上。大自然の脅威の中を生き抜いてきたアカディア人達の絆や団結が、島文化を支えているのだ。あちこちに掲げられたトリコロールに1つ星のアカディア旗が、彼らの誇りを物語っている。

©TOURISME ÎLES DE LA MADELEINE

春先はタテゴトアザラシの赤ちゃんツアーが人気を博しているマドレーヌ諸島。近年観光業が目覚ましいのは確かだが、元々この島の舞台骨は漁業と農業。これらの十八番が観光に活かされるのは、旅行者にはまたとない幸せだ。シーフードで舌鼓を打つなら、アーヴル・オベール島東部の歴史地区ラ・グラーヴやカップ・オ・ムール島に集まるレストランへ。ロブスターやズワイガニを筆頭に、ケベック唯一の養殖牡蠣、伝統的漁猟の帆立貝、タラやオヒョウなど淡白な白身魚等々、海の恵みがお皿の上からはみ出さんばかりの贅沢さに圧倒されること間違いなし。

©TOURISME ÎLES DE LA MADELEINE / D.I. Jeske

©TOURISME ÎLES DE LA MADELEINE / Pascal Arseneau

さらに注目なのは35軒の生産者、レストラン関係者、小売業者によるグループ「ル・ボン・グー・フレ」。ケベックを代表するチーズのピエ・ドゥ・ヴァンやトム・デ・ドゥモワゼル、専門店の猪肉など、マドレーヌ諸島の味を広め食産業を活性化するべく数々のイベントを開催している。10月10日までの毎土曜日にはカップ・オ・ムール島でマルシェ・デュ・ヴィラージュという農産物市が開催中で、9月6日には秋の収穫物が一堂に会する田園祭が開かれる予定。公式ホームページには地元食材を使った写真入りレシピが出ており、マドレーヌ諸島の食への興味が掻きたてられること必至だ。

カップ・オ・ムール島では、オリジナリティ溢れるコーヒーが飲めるカフェ「ル・ムスヌール」も訪れたい。それは焙煎マスターでバリスタのリチャード・オニール氏がコーヒー豆を島周囲の海水に漬け、その後潮風で乾燥させた“塩コーヒー”。ユニークな視点から生まれたこの製法で、コーヒーの酸味が抑えられ香りがグンと引き出されるそうだ。マドレーヌ諸島の海と太陽がたっぷり溶け込んだ一杯は、味わい深い旅のハイライトになるだろう。

©TOURISME ÎLES DE LA MADELEINE / Michel Bonato

Info
●マドレーヌ諸島公式HP
www.tourismeilesdelamadeleine.com/en

●ル・ボン・グー・フレ公式HP
www.lebongoutfraisdesiles.com/en