対岸に向い合うローマ史跡を訪ねる旅
Mainz & Wiesbaden
マインツ&ヴィスバーデン(2012年4月20日記事)

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今回は前回のフランクフルトに続き、近郊の2都市、マインツとヴィスバーデンを紹介したい。摩天楼立ち並ぶ大都会の喧騒から逃れて辿り着く、マイン川とライン河の合流点に広がるこの2都市。共にケルト人の開拓地として、またローマ帝国の領地として、今日のドイツの文化・歴史を支える都市である。

マインツは古くから宗教都市として重要な位置を占めた街。その歴史は数々の宗教的建物が物語る。先ず、千年の歴史を持つマインツ大聖堂。ここは、ケルン、トーリアと並ぶローマ教皇の聖座が置かれた宗教的中枢だった。11世紀初頭の大司教ヴィリギスは皇帝選挙を主宰するなど、絶大な権力を握り、最盛期の13・14世紀にはウイーン、プラハを勢力圏に収める。マインツでの見どころは、旧市街中心に建つ聖アウグスティン教会。珍しく第2次大戦の空爆被害を免れた歴史的建造物であり、贅を尽くした豪奢な外観と内装からロココ建築の真珠と称されている。そして、シャガールのステンドグラスで有名な聖シュテファン教会。幻想的な青い光が描く神聖な空間を体感したい。

そして忘れてならないのが、ドイツの誇りグーテンベルク。活版印刷生みの親だ。彼の残した偉業は、火薬・羅針盤に並ぶルネサンス3大発明のひとつ。その功績を記念して創られた博物館には、グーテンベルク自身が印刷した世界最古の活版印刷による聖書が展示されている。お見逃しなく。

一方のヴィスバーデンは、「草原の中の温泉」を意味する「Wisibada」がそのまま地名になり、古くから温泉文化で栄える街だ。早くも古代ローマ時代の77年、プリウスの博物誌に温泉の記述が現れている。かつては27もの温泉を抱えた(現在は15)温泉文化の栄華は、今もなお街の至る所に見られる。中でも、カイザー・フリードリヒ・テルメは、荘厳な造りのファサードに高級感溢れるスパやサウナを擁する由緒ある複合温泉施設。ここでゆったりと旅の疲れを癒すのもいいだろう。

娯楽と保養のパラダイスとして多くの裕福層を魅了したヴィスバーデンの温泉。この地を気に入ったヴィルヘルム皇帝二世は夏のレジデンスに選ぶ。また、ロシア貴族や商人、芸術家などが移り住み、更には老後の生活にと移住する者もあったという。そんな温泉都市としての発展に呼応し、同皇帝の要請で1904年より着工したクルハウス(スパ・ハウス)は、豪華なラウンジやカジノを擁するネオクラシカル調の社交広場。建物を囲む広大な芝生とその中央を占める噴水が美しい。最盛期は国内で最も裕福な人々が多く住む街となったといわれている。そんな時代背景の中、ロシアの文豪ドストエフスキーは常連の一人だった。そして彼のこの地のカジノでの敗退が、小説「賭博者」のインスピレーションになったというユニークな一説がある。

遠いローマ帝国の時代が残した伝統や文化の史跡を共有する2つの都市。ライン河を挟む対称的な位置から、互いを「Wrong side」と冗談を交えて呼び合う一面もある。一体、どこが似ていてどこが違うのか。比べてみるのも面白そうだ。

More Info
ドイツ政府観光局(日本語)
www.germany.travel
マインツ市公式サイト(英語)
www.mainz.de
ヴィースバーデン市公式サイト(英語)
www.wiesbaden.de
 
 

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