車窓を駆け抜けるアメリカの原風景
Medora, U.S.A.
メドラ、アメリカ合衆国(2015年4月17日記事)

Medora, U.S.A.

©North Dakota Tourism
北はカナダ内陸部から南はアメリカ合衆国テキサス州まで、130万平方キロメートルにわたって伸びる広大なグレートプレーンズ。アメリカ中西部の中でも最北部に位置するノースダコタ州は、州全体がすっぽりこのグレートプレーンズの範囲に入っており、”バッドランズ“と呼ばれる荒野が続く。一説によればノースダコタ州は「全米一観光客の少ない州」なのだそうだが、その中でメドラは1キロ平方メートル足らずの町ながら、多くの人が訪れる。「大草原の小さな町」には、一体なにがあるのだろう。

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ルーズベルト大統領に愛された荒野

メドラは小さいながらも、西部劇に出てくるような開拓時代の雰囲気たっぷりの建物が並び、宿泊施設や食事処が集まるノースダコタ州西部の町。その周囲285平方キロメートルの広さにおよぶセオドア・ルーズベルト国立公園の玄関口の町として、州の観光を担う重要な存在だ。なにしろ町の人口約120人に対して、年間40万人強がこの国立公園を訪れるのだから。

広大な国立公園は、その名のとおりアメリカ合衆国第26代大統領のセオドア・ルーズベルトと縁の深い場所。カウボーイに例えられる男らしさを持つ大統領だが、ニューヨーク州の最年少議員として頭角を現していた1884年、妻と母親が相次いで亡くなった衝撃と悲しみにより、議員を辞めてメドラ近郊で一人暮らしを始める。その前年に訪れたノースダコタを大層気に入った彼は、すでにメドラの町の11キロほど南にマルティース・クロス牧場を購入していたのだ。現在この牧場にあった木組みの小屋は、国立公園入口のメドラビジターセンターの裏に移転し設置されている。小屋の中には生前のルーズベルトの愛用品が展示され、当時の生活が蘇る空間だ。

もっとも、打ちひしがれたルーズベルトはさらなる孤独な環境を求め、メドラの町から北に56キロ離れた場所にエルクホーン牧場を建設し、こちらを主な拠点とした。現在は跡形だけが残るエルクホーン牧場は国立公園の北部と南部の間にあり、園内を縦断するリトルミズーリ川がすぐ傍を流れる。川と寄り添うように続くマー・ダー・ヘイ歩道やドライブウェイの途中で、横縞の入った巨大な堆積岩を背景に、プレーリードッグが地中からひょっこり顔を出したり、バッファローや野生馬が滑走する姿と出会えるかもしれない。

後にアメリカ大統領となったルーズベルトはこの土地を”荒涼として不気味な美しさ“と表現し、「ノースダコタでの経験がなかったら、私は大統領になっていなかっただろう」と回想している。バッドランズの厳しくも豊かな自然は、大国の指導者にとてつもない力を与えたようだ。

©North Dakota Tourism

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ワイルド・ウエストから魔法のハイウェイへ

セオドア・ルーズベルト国立公園が時を超えたグレートプレーンズの顔を見せてくれる一方で、新たな名所となりつつあるのがエンチャンテッド・ハイウェイ。メドラから車で東に45分のグラッドストーンとリージェントの町を結ぶ約50キロの郡道沿いに、とてつもない大きさのバッタ、キジの親子、宙を舞う魚やロボットなどの鉄製彫刻が現れて、ドライバーを驚かせる。その傍らには「世界最大の野外彫刻」という看板が。地元の彫刻家ゲイリーさんが1989年から一人で制作する作品群が続くこの道は、ユーモラスな魅力をふりまきながら、ノースダコタの緑豊かな大地と青空の中を一直線に伸びている。

©North Dakota Tourism

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Info
●ノースダコタ州観光局公式サイト
www.ndtourism.com

●ディスカヴァー・アメリカ(日本語)
www.discoveramerica.jp/usa/states/north-dakota.aspx