光あふれる初夏の散歩道
Montreal, QC~前編~
モントリオール(ケベック)(2013年6月7日記事)

Montreal, QC

Ⓒ金沢知子

オンタリオ州のお隣りのケベック州は、独自のアイデンティティを持った個性際立つ存在。その州都モントリオールがひときわ輝く季節がやって来た。
陽光あふれる町並みを歩いていると、あちこちから小鳥のさえずりのようなお喋りが聞こえる。日が暮れると劇場街やレストランからざわめきやグラスを合わせる音が響き、誰もが短く美しい季節を謳歌しているのを実感する。「北米のパリ」と呼ばれるモントリオールでフランス語表記の看板に囲まれていると、「ここカナダだっけ?」と不思議な錯覚に陥ってしまう。そんなモントリオールならではの魅力を満喫しよう。

エピキュリアンな散歩道

モントリオールという名前は、町の中央にある山、モン・ロワイヤル(王の山)から付けられた。今では公園となっているこの山の西側の麓にはマギル大学があり、そこからセントローレンス川にかけて広がる一帯が町の中心だ。
VIA鉄道やバスの駅から降り立つと、ヨーロッパ風の歴史的建造物に混ざって近代的な施設が絶妙なバランスで共存し、美観を保っているのに感動する。世界に11か所(2012年5月現在)しかないユネスコデザイン都市に認定されているのも納得だ。市内は地下鉄での移動も便利だが、せっかくだからできるだけ歩いてみたい。まずはカルティエ・ラタン地区に行き、サンドゥニ通りを北西に向かって上ろう。19世紀の建物が続くこの通りは、番地が大きくなるにつれて小洒落たカフェやブティックが増え、歩き飽きることがない。シェルブルック駅を越えてすぐの「Café Cherrier」のテラスで冷たいワインを飲めるのもこの季節ならでは。この辺りからプラトー・モン・ロワイヤル地区のはじまりだ。

20世紀初頭は労働者街だったのが1980年代からインテリ層や芸術家が住み始め、今ではブルジョワボヘミアンな雰囲気が色濃く漂う地区となっている。街路樹の緑がまぶしい小路と、らせん階段がついた色とりどりのアパートが並ぶ景色はフォトジェニックで、ぶらぶらと散策しているだけでも心地よい。小腹が空いたら1919年オープンのモントリオールスタイルベーグルの老舗「Fairmount Bagel」や、スモークミートの有名店「Schwartz's」を覗いてみよう。あるいは地下鉄に乗ってジャン・タロン駅で下車すれば、モントリオール最大の市場ジャン・タロン・マーケットはすぐ近く。次から次へおいしいものとの出会いがあってカロリーが大変なことに…と思いつつ も「食」はこの町の大きな魅力。この際エピキュリアン(快楽主義者)になりきって、甘美なひとときを享受するのもいいだろう。

モントリオールに戻って来よう

一方、セントローレンス川に面した旧市街は石畳の道や重厚な建物が古めかしさを保っている。18世紀初頭のモントリオールは石造りの要塞に囲まれたこの地区だけを指していたが、次第に町が拡張して現在の規模になった。レストランがびっしりと並ぶサンポール通りやセントローレンス川の河岸では、今日ものんびりと馬車が往来する。旧市街のシンボル・ノートルダム大聖堂は、北米最大のネオゴシック様式のバジリカ聖堂。毎週火曜から木曜の夜には聖堂をライトアップする光の祭典が開催され、幻想的な教会を体験できる(入場は7歳以上)。大聖堂と併設されたチャペルは、セリーヌ・ディオンが結婚式を挙げたことでも有名だ。セリーヌは地元ケベック州ではまさしくスーパースター。最近は「Schwartz's」のオーナーにも名を連ね、地元愛と絆はますます深まっている。彼女が唄う「Je reviendrai àMontréal(モントリオールに戻って来るだろう)」という慕情あふれる曲を聴くと、旅行者であってもこの美しい町にまた戻って来たいという気持ちがしみじみと湧いてくる。



〈文/金沢 知子〉




More Info

●カナダ政府観光局(日本語)
jp.canada.travel
●モントリオール観光局
www.tourisme-montreal.org

 
 

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