優しい田園風景に包まれて潮風を感じる
Prince Edward Island
(2016年4月1日記事)

Prince Edward Island

優しい田園風景に包まれて潮風を感じる

カナダの大西洋側に位置するプリンス・エドワード島は、三日月の形をした、セント・ローレンス湾に浮かぶ小さな島。連なる丘、そこに交互に広がる島特有の赤土の畑と緑の草地、そして真っ青な海。島自慢の風景は、16 世紀に島に上陸した最初のフランス人探検家、ジャック・カルティエが「今まで見た中で、一番美しい場所だろう」と日記につづったほど。

この穏やかな田舎の島を一躍有名にしたのは、不朽の名作『赤毛のアン』。作品の舞台となった島であり、作者 L. M. モンゴメリの故郷でもあり、ファンにとってはまさに聖地だ。島中央の北部には、『赤毛のアン』の舞台アボンリー村のモデルとなった小さな町、キャベンディッシュがある。ここには『赤毛のアン』ゆかりのスポットが点在しており、真っ先に向かいたいのは、アンが暮らした家のモデルとなったグリーン・ゲイブルスだ。もとはモンゴメリの親戚の家で、現在では国定史跡として公開され、毎年約13万人が訪れる観光スポット。アンの部屋などは、小説からのイメージそのままでびっくりしてしまうほど。ちなみにグリーン・ゲイブルスは、日本語版では「緑の切妻屋根の家」などと訳されているのだが、切妻屋根とは、簡単なイラストでよく描かれるような三角の屋根のことで、頂上部分から下へ2つの面が伸びて形状を構成する屋根のこと。グリーン・ゲイブルス周辺には、作中でアンが「恋人の小径」「お化けの森」と名付けた道や森、モンゴメリの住居跡や、彼女が『赤毛のアン』を出版社へと投かんした郵便局、彼女の墓などが近い。


カナダ連邦発足の歴史に触れる

島の真ん中に位置する、プリンス・エドワード島の州都シャーロットタウンへと話題を進めよう。歴史を感じる赤レンガの建物が並ぶ通りが散策にぴったり。この町は1864年、カナダ各地の植民地代表が集まり、連邦の発足のための討議が初めて行なわれたことから、「カナダ連邦発祥の地」と呼ばれる特別な場所。会議が行なわれたプロビンス・ハウスは当時のまま保存され、公開されている。その隣のコンフェデレーション・センターでは、毎年夏に上演される「赤毛のアン」のミュージカルが人気を集める。

プリンス・エドワード島では農業、酪農が盛んで、新鮮な旬の食材に事欠かない。海に囲まれていることから海の幸も豊富で、年間を通して味わえるロブスターはプリンス・エドワード島の名物。ほかにも絶品のオイスターやムール貝など、さまざまな魚介類がとれ、それらは町のレストランで楽しむことができる。

この島を訪れたら、ハイキングやサイクリングもおすすめ。島には、廃止された鉄道の線路跡を整備してハイキングやサイクリングなどができるようにした、全体で350キロ以上にもなるトレイルがあるのだ。コンフェデレーション・トレイルという名のこのトレイル、島の端から端まですみずみ通っているが、もちろん希望や都合に合わせて距離を調整できる。素朴な村々、赤土の農地、のどかな牧場、湿地帯や広葉樹林が続く穏やかな景観を潮風と共に楽しめる。春はたんぽぽにデイジー、すみれなど、小さな花々が道を飾り、初夏には「昇り藤」とも呼ばれ、ピンクや紫の小花をたくさんつけるルピナスの花があちこちで開き、甘い香りを風に乗せる。

島の海岸線に沿って点在する灯台は、作られた時代によって異なる形や大きさ。どれも写真映えするので、灯台巡りツアーなどで複数足を運ぶのもいい。少し変わったところでは、島の西端に、宿泊もできる灯台ウエストポイント・ライトハウスがある。白と黒の縞模様の壁が特徴的な灯台で、1875年に建設された歴史あるもの。島で最も高い灯台でもある。ホテル部分は13部屋と小さいが、4つ星の評価を受けている。昔の灯台の様子などを展示した博物館も同施設内にあるので楽しめそう。

島を代表する手工芸品といえば、キルトをぜひチェックしてほしい。キルトは上下の布地の間に綿などを挟み、これを縫いとどめた布製品。現在では手芸や装飾といった要素が強くなってきたが、島ではもともと、冬の寒さをしのぐ布団など、生活必需品として重宝されてきた。キャベンディッシュから少し離れたパーク・コーナーにあるアン博物館には、モンゴメリが作ったキルトが展示されている。このキルト、クレイジー・キルトという、色鮮やかな「はぎれ」の布をさまざまな形にカットして、凝った刺繍でつなぎ合わせたデザインなのだが、19世紀後半当時、プリンス・エドワード島を含む北米で大流行していた。ブームが去ったあとでは、「なぜこんな模様にしてしまったのだろう」と思った制作者も多かったのだとか。島にはキルトの専門店兼ギャラリーや、キルト教室なども開かれているので、のぞいてみて。

春には周辺の海の氷が溶け、秋にかけて過ごしやすい気候が続くため、観光に最適。5月中旬のミュージックフェスティバルを皮切りに、10月ごろまでさまざまなフェスティバルやイベントが開催されるので、要チェックだ。島の各所では、農業、絵画、潮干狩り、ロブスターをビーチでボイルして食べる企画など、それぞれのよさを生かした体験ツアーも開催されている。

Info
プリンス・エドワード島観光局
www.tourismpei.com

ウエストポイント・ライトハウス
www.westpointharmony.ca





 
 

Prince Edward Island