先住民達が刻んだペトログリフの森へ
Peterborough, Ontario
ペトログリフ、オンタリオ州(2015年9月4日記事)

Peterborough, Ontario

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トロントからハンドルを握り、東に向かうこと約2時間。オンタリオ州南東部のピーターボロは「コテージ・カントリー」と呼ばれるカワーサ湖群の玄関となる町。こぢんまりしたダウンタウンから車で50分ほどのペトログリフ州立公園まで来ると、一面はオンタリオ州らしい鬱蒼とした緑と湖に囲まれる。ここには今から6~11世紀も昔の先住民達によるペトログリフ(岩絵)が残されており、今も変わらず神聖な場所。厳粛な気持ちを忘れずに、神秘の森へ迷い込んでみたい。

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手つかずの自然に囲まれた聖地

ペトログリフ州立公園は、先住民族のオブジワ族が儀式を行なっていたとされるエリアで、彼らにとってはスピリチュアルな世界への入口だ。駐車場に車を停めると、すぐに「スピリチュアルな理由により、ここから先は犬の立入禁止」と描かれた看板が目に飛び込んでくる。
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彼らの世界観を知るためにも、到着してまず最初に立ち寄りたいのが、「ラーニング・プレイス」という名のビジターセンター。たとえば鹿や鷲といったスピリットアニマルが何を象徴しているのか、東西南北を示すそれぞれの色についての意味等々が、展示や動画で丁寧に解説されている。ここがなぜ彼らにとって特別な場所なのか、少しでも理解を深めてから、いざペトログリフへ。ペトログリフは現在、ラーニング・センターに隣接した建物に保存されている。中に入ると巨大な白い大理石の岩のまわりに柵が張られ、上から覗き込むかたちでペトログリフを拝観する。900個の絵が彫られた岩はオジブワ族から「教えの岩」と呼ばれており、様々な意味が込められていそうだ。ひと目で鳥、亀、人間とわかる形、矢印や矢尻のような形、オジブワの神話に登場する精霊ナナボーゾなどの絵が細かくぎっしりと刻まれて、さながらひとつの宇宙を眺めている気分になってくるに違いない。
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ペトログリフ州立公園内にはいくつかのハイキングコースがあり、カナダ楯状(たてじょう)地の岩山や湿地帯や樹木林など変化に富んだ景観が続く。写真撮影が禁止されているため伝えられない部分が多いが、それゆえ守られ続けている神秘的な場所だ。ひっそりした手つかずの自然の中に身をおけば、この土地に棲む精霊達の気配が伝わってくるかもしれない。

ペトログリフ州立公園とダウンタウンの間にはなだらかな平野が続く。ドライブ途中の道路沿いに採れたての野菜を販売するスタンドが並び、巨大なズッキーニや山盛りのジャガイモが並ぶ光景と出会うのも楽しみのひとつ。

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オトナビー川の流れるピーターボロ市街地に到着すると、ここでも飲食店の集まるハンター通りのオーガニック・レストランや毎週水曜日開催のファーマーズマーケット(10月末迄)で、地元の新鮮な野菜を食べられる。ダウンタウン散策で訪れたいのがハンター通りと平行するシムコ−通り123番地の建物。ピーターボロという町名が1825年にここで生まれたという誕生の地だ。20世紀後半まで会員制社交場ザ・ピーターボロ・クラブとして機能し、レストラン「Brick House」となった今もレンガ造りの古いゴシック様式建築が生かされている。ペトログリフを意識してか、ダウンタウンには絵が描かれた建物があちこちに。どこの壁になにが現れるか見上げながら歩くのも、ピーターボロらしい街歩きの楽しみ方だ。

©金沢知子

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Info
●ピーターボロ & カワーサ観光局公式サイト
thekawarthas.ca