カナダ騎馬警察隊が華麗に行進するクイーン・シティ
Regina, Saskatchewan
(2017年7月14日記事)

Canada

©Tourism Saskatchewan/Hans-Gerhard Pfaff



ラテン語で女王を意味するレジャイナは、サスカチュワン州の州都。その名のとおり女王にちなんだものが多く、町の中心的存在のワスカナ・センターにはエリザベス女王2世公園がある。トロントのクイーンズ・パークにあるのはエドワード7世の乗馬像だが、同公園ではエリザベス2世像が馬に乗っている。そう聞くとイギリス色が強い街という印象を受けるが、ここはカナダのシンボルである王立カナダ騎馬警察隊(RCMP)のお膝元。毎年夏に行われるRCMPの儀式サンセット・リトリート・セレモニーは、レジャイナきっての名物だ。そして、なんといっても美しい湖と広大な大平原が、果てしなく続く北米大陸の真ん中にいることを実感させてくれる場所なのだ。 カナディアンから親しみを込めて 「マウンティーズ」と呼ばれているRCMPは、国民のヒーロー的存在だ。騎馬隊や騎馬警官を擁する国は世界にいくつもあるが、中でも赤と黒を基調にしたRCMPの式典服姿は、ひときわ鮮やかで印象的。レジャイナはこの夏もRCMPによるサンセット・リトリート・セレモニーの開催真っ只中だ。セレモニーではマウンティーズ候補生たちのマーチングパレードや、白煙たなびく大砲演習などが45分間にわたって実演される。ピンと背筋を伸ばして緋色の制服をまとい、キリリとした表情をステットソン帽の下にのぞかせるマウンティーズたちの姿は感動的で、アメリカン・バス・アソシエーションの北米トップ100イベントに選ばれたのがよくわかる。カナダデーを皮切りに始まった今年のサンセット・リトリート・セレモニーは8月8日までの間、毎週火曜日に行われる予定だ。



©Tourism Saskatchewan/Hans-Gerhard Pfaff
緋色の制服が眩しいサンセット・リトリート・セレモニー

レジャイナとRCMPの歴史は長く、絆は強い。1873年にカナダの初代首相マクドナルドの命令により、当時のカナダ西部(現在のアルバータ州とサスカチュワン州)でRCMPの前身である北西騎馬警察が発足し、間もなくしてレジャイナにヘッドクオーターが設置された。1920年に組織がRCMPとなってからはオタワに本部が移されたが、それよりも前に作られたレジャイナのトレーニングセンターは今も現役で稼働中。RCMPアカデミーという名の同訓練所では、候補生らが日々特訓を受けるほか、広い敷地は平日に行われる演習パレードやサンセット・リトリート・セレモニーの舞台にもなる。さらに、その一角にはレジャイナとRCMPの深い関係を証言するRCMPヘリテージ・センターもある。かつてのRCMP博物館がリニューアルされたこの施設は、歴史的資料が展示される一方でRCMPの馬術セレモニーである『ミュージカルライド』の3D体験ができる。それも観客視線ではなく、騎手の視点で体感できるのがポイントだ。ヘッドセットをつけると目の前に仮想現実の世界が広がり、自分がマウンティーズになって走り回っているかのような迫力の臨場感に包まれる。館内のショップには定番のRCMPグッズのほか、今年はさまざまなデザインのカナダ建国150周年記念Tシャツが揃う。いかにもカナダらしいおみやげを選んでみるのも、レジャイナでのいい思い出になりそうだ。


©Tourism Saskatchewan/Chris Hendrickson Photography
ワスカナ・センターの水辺で夏のひとときを



©Tourism Saskatchewan/Chris Hendrickson Photography

レジャイナのもうひとつの象徴は、ダウンタウンから徒歩圏内にあるワスカナ・センター。9.3キロメートルにおよぶ公園は、ワスカナ湖を囲んでサスカチュワン州議事堂やロイヤル・サスカチュワン・ミュージアム、レジャイナ大学などを擁する広大な都市公園だ。ワスカナというのは入植以前のレジャイナの呼び名で、クリー族の「骨の山」という言葉に由来する。その昔、この辺りに数多くいたバイソン(野牛)の骨が積まれる場所だったそうだ。 ワスカナ湖は意外なことに自然湖ではなく、1883年にレジャイナ北西部を流れるワスカナ・クリークの水を引いて作られた人造湖だ。湖に浮かぶ3つの小島は渡り鳥の休憩地にもなっており、今ではすっかり自然に溶け込んでいる。湖をぐるりと囲む4キロメートルの小道は、ブルートレイルという名のトレイルコース。水辺で憩う動物やボザール様式の州議事堂が現れ、目を楽しませてくれる。夕暮れ時に快適な散歩道を歩けば広い茜空が湖面に映り、最も美しい時間が流れるだろう。トレイルコースの見所のひとつは、涼しげな水しぶきをあげるトラファルガー・ファウンテン。このかわいらしい噴水は、かつて英国ロンドンのトラファルガー広場に置かれていたもので、北西騎馬警察の本部創設を記念してイギリスからレジャイナに贈られた。実は、同じくトラファルガー広場からカナダにやって来た兄弟分の噴水も存在しており、そちらはオタワのコンフェデレーション・パークに設置されている。足元で魚が口を開いた姿がそっくりで、兄弟というよりは双子の噴水に見えるがどうだろう。 ところで、ワスカナ時代に肉を食用に、毛皮を防寒にとネイティブ・カナディアンたちにほとんどの部位を利用されていたバイソンは、今ではどこへ行ってしまったのだろうか。その答えはレストランにあるかもしれない。レジャイナにはバイソン料理を食べられる店が数多くあるのだ。牛肉よりも脂肪が少なくクセのない赤身肉は、ステーキやハンバーガーに姿を変えて登場する。レジャイナの歴史に思いを馳せつつ噛みしめれば、一層味わいが深まりそうだ。そしてRCMPの制服をよく見ると紋章の中にバイソンが。メープルの葉に囲まれたバイソンが真正面からこちらをギョロリと見据えるその姿は、まるでカナダの守護神のように見えてくる。



©Tourism Saskatchewan/Chris Hendrickson Photography



©Tourism Saskatchewan/Greg Huszar Photography 



©Tourism Saskatchewan/Greg Huszar Photography 


Info
サスカチュワン州観光局HP(英語)
www.tourismsaskatchewan.com

レジャイナ観光局HP
tourismregina.com

RCMPヘリテージ・センターHP
rcmphc.com

 

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