心が躍るような街から理想の楽園まで
Salvador
(2018年6月8日記事)

Brazil

 

今回は、2003年に2か月間滞在したブラジルでの話をしよう。人生で初めて訪れたポルトガル語圏ではコミュニケーションに苦戦したものの、そこは太陽の光が輝く、お祭り好きなブラジル人が住む国だ。陽気な音楽と笑顔とともに踊って過ごしていれば、すべて問題ないような国だった。とにかく大きいブラジルでは、街から街へと移動するたびに、多様な人種が住んでいることに驚く。サンパウロは日系人、ブラジリアは白人、北上したサルバドールはアフリカから連れて来られた人が多いため、黒人が多い。そこからさらに北上すると、アマゾン、先住民系が住んでいる。
私が特に気に入ったのは、バイーア州のサルバドールだ。急な坂道だらけの地形が特徴的で、いくつもの大きな教会が見られる。石畳が敷かれた道を行くと、あちらこちらから音楽が聴こえる。この活気のある街に降り立った途端、わくわくする気持ちが止まらくなった。旅行の最中に、そういう気持ちが押さえ切れなくなることが多々あるものだ。11時間のバス移動で疲れてるはずなのに、ゲストハウスに荷物を置くや否や早速街の散策に繰り出した。有頂天になっていた私は、バイーア地方のボリュームのあるスカートが特徴的な衣装を着て、記念撮影までしてしまった。レゲエ広場という名の、毎晩パーティが開催されてる場所があったり、バーでは黒人夫婦が昼からビール飲んでくつろいでたり、ラスタマンの絵描きが絵を描いていたりと、街を歩いてるだけで強いポジティブなパワーを感じることができた。そこで見た「フェスタ・デ・イエマンジャ」は、海の女神イエマンジャに白い花を捧げるお祭りで、人々は大音量の音楽と共に踊りながら練り歩く。街中をを白い服を着た人で埋め埋めつくす光景は圧巻だった。






ポジティブなパワーがみなぎるバイーア州のサルバドール

サルバドールまで来たら、個人的にオススメしたい島がある。「モーホ・デ・サンパウロ」という、サルバドールから高速船で2時間かけて行く、ガイドブックには載っていないような島だ。サルバドールの街中にある、ちょっと治安の悪いエリアまで一気に降りることができるエレベーターの側に、モーホ ・デ・サンパウロに行く船が出ている港がある。港から船に乗ってしばらくすると見えてくるのは、まさに理想の楽園を絵に描いたような島だ。濃いエメラルドグリーンの海に浮かぶ小さな島には、ヤシの木がもりもりと生えている。船から降りると、黒人の群れとタクシーが待ち構えている。タクシーと言っても、それは自動車ではない。「タクシー」と手書きで書かれた手押し車で、そこに重い荷物や子供を乗せ、整備されていない道を押しながら行き先に向かうのだ。







手付かずの自然が生い茂る島

手付かずの自然が生い茂る島内に、自動車は無い。海沿いの道を歩きながら、島を1周してみることにした。サーフィンができる大きな波が立つビーチや、全く波がない「天然プール」と呼べるようなビーチがある。その天然プールはぬるくて浅いので、いくらでも浮いていられる。黒い金魚のような魚、真っ青な魚、そこにカニまでいる。サマーベッドで読書をする大人たちと、水辺で遊ぶ子供たち。売り子たちが、魚介類の串刺しや焼きチーズなどを、大きなお皿に乗せてやってくる。至れり尽くせりで、心もお腹も十分に満たされた。次のビーチへ行くために、一列で進まないと通れないほど狭い道を通って、山道を登る。山頂にあるのは、270度海を見渡せる絶景だ。上から見ると、海を行くボートが立てるさざ波は、蝶の羽のようだった。さらに少し行くと滝があり、その次に辿り着いたビーチはピンク色をしている。黄色の泥を身体中に塗って泥パックを楽しむ人々がいたりと、とにかく平和な雰囲気だ。人気のないだだっ広い海や、常に音楽が大音量でかかっていて多くの人で賑わっているビーチなど、その日の気分で過ごしたい場所を選べるのもいい。夕方になると人々がぞろぞろと集まってくる高台があり、そこから夕日を堪能する。星が空一面を埋め尽くす夜には、どこからともなくギターの音色が聴こえてくる。
朝起きて海に行き、夕日を見送って星空を堪能するという、シンプルな毎日。そんな毎日から得られたものは多く、何よりも年を重ねてまた必ず訪れるだろうという場所を見つけることができ、幸せな気分でいっぱいになった。

Biography

岡本まい
1976年生まれ横浜出身、通称オカマイ。ライター、コーディネーター、ジャマイカでのガイドを行なう。『危ない世界の歩き方』『まずは行動する人がうまくいく』著者。
instagram: okamai_ja

 

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