激動の開拓時代から全米屈指の人気都市へ
San Antonio
(2017年4月21日記事)

U.S.A.


©Kenny Braun
州都ヒューストンに次いで大きく、観光地としては圧倒的な人気を誇るテキサス州南部のサン・アントニオ。軍事、工業、商業など多くの分野で発展した都市だが、アメリカ史に足跡を残すアラモ砦、心地よいリバーウォーク、北米最大のメキシカンマーケットなど、旅行者が訪れてみたくなるポイントが目白押しの注目の場所だ。町を歩いていると目や耳に入ってくるのは、カラフルな飾りつけやスペイン語。ラテンの伝統や文化が色濃い暮らし、西部開拓時代の面影…アメリカン・エキゾチシズムを体験したいなら、すでに30℃近い亜熱帯性気候が迎えてくれるこの町へ向かおう。


©Michael Murphy

サン・アントニオ川の流れに合わせて町歩き

サン・アントニオはスペイン植民地の伝道所が北米で最も集中する町。町にある5つの伝道所のうちのひとつがサンアントニオ・デ・バレロ伝道所(アラモ伝道所)、いわゆるアラモ砦だ。アラモ伝道所は、その歴史を知ればサン・アントニオのみならずテキサス州の物語が輪郭を持って見えてくる重要な史跡。この町が別名アラモ・シティと呼ばれているのも、アラモ伝道所の歴史と存在感を知るほどによくわかる。町の中心にあるので、まずは脚を運んでみよう。


©Kenny Braun

元々メキシコに属していたテキサスは、アメリカ合衆国の28番目の州になる以前「テキサス共和国」という独立した国家だった時期がある。1835年にアメリカ入植者達を中心とした“テクシャン”達は、メキシコに対して革命を起こす。翌年に兵士達がアラモ伝道所に立てこもりメキシコ軍相手に13日間に亘って激しい攻防戦を繰り広げたものの、数千人のメキシコ軍に対してテクシャン側は180兵強。その数の差からうかがい知れるとおり、アラモ砦の戦いは悲壮なものだった。ここでの戦いではメキシコ軍が圧勝したものの、のちのサン・ジャシントの戦いではテクシャン勢が優位に立ち、その勢いで独立が承認されてテキサス共和国が誕生した。

共和国が続いたのは1845年に合衆国に併合されるまでの約10年間と短い期間だったが、今もテキサスの人達が自分達の州をこよなく愛し強い誇りを持っているのは、このエポックメーキングな背景があるからに他ならない。テキサス州州旗の星は、テキサス共和国の国旗に輝いていたローンスターなのだ。現在、このアラモ伝道所は博物館として公開されている。聖地と戦地という対照的な使命を担った場所に身を置くと、色々と考えさせられるだろう。


©Kenny Braun

ところでアラモ伝道所以外の4つの伝道所はまとめてサン・アントニオ・ミッションズ国立歴史公園に指定され、サン・アントニオ川沿いの散策コースのひとつとなっている。この散策コースを擁するのが、サン・アントニオ名物のリバーウォークだ。全長約24キロメートルの川辺の遊歩道は、カフェやブティックが立ち並ぶ活気、豊かな緑と木陰が織りなす清々しさ、スペイン時代の歴史地区などフォトジェニックな景観が魅力的なだけでなく、歩くうちにアラモや先の4つの伝道所、サン・アントニオ美術館やウィット・ミュージアム、日本庭園などサン・アントニオの主な見どころ付近に誘導してくれる便利さも組み合わさった、なくてはならない町のシンボル。この長いコースは徒歩だけでなく、リバークルージングでも人気がある。見どころや歴史を熟知したガイド付きクルーズ船に乗って水路を進めば、地上からの眺めとは一味違う景色が流れていく。リバーウォークには電動スクーターツアーや車椅子のレンタルサービスもあるので、必要に応じて活用したい。


©Joy Bull

一方、サン・アントニオを空の上から一望したい! という向きにはタワー・オブ・ジ・アメリカスがある。ダウンタウンのヘミスフェア公園ににょっきりと突き出したタワーはおよそ230メートル。塔の上の展望台とレストランはゆるやかに回転しているので、気がつけばサン・アントニオ市街を全方位から見晴らすことができている。

そしてちょうど今の時期の目玉となるのが、今年は4月20日~30日に開催されるフィエスタ・サン・アントニオだ。1891年から続くアメリカで最も古いお祭りのひとつで、期間中は連日町中でカーニバルや花火などのイベントが繰り広げられ、盛大なフィエスタ一色に染まる。春らしさ満開のフラワーパレードやメキシコの伝統的な乗馬パレードなど、明るく華やかな賑わいがこの町の春告鳥になる。

異国情緒あふれるマーケット・スクエアへ


©Kenny Braun

アメリカにいながらメキシコらしさたっぷりの体験ができるのも、サン・アントニオならでは。「メキシコ本国以外で最大のメキシカン・マーケット」のマーケット・スクエアは、まるで国境を越えたかのようにラテンの雰囲気たっぷり。毎年5月5日のメキシコの祝日「シンコ・デ・マヨ」がここで盛大に祝われるのも納得だ。黄色や赤の原色と素朴な電飾で彩られたマーケット内には、美味しそうな食事処がぎっしりとひしめく。この場所で4世代続く人気店「ミ・ティエラ」では、朝食からカクテルまでオーセンティックで気取らないメキシコ料理が提供される。本格派メキシコ料理か、テキサスらしくメキシコとのフュージョンのテックス・メックスか…あれこれ迷えるのはなんとも贅沢だ。それからサン・アントニオ名物のパフィー・タコス。おなじみのタコスの皮がプクッと膨らんでいるのが、ソフトタイプともハードタイプとも違うところ。皮の外側はカリカリ、内側はしっとり柔らかが理想形のパフィー・タコス。サン・アントニオ滞在中に是非とも巡り会いたいものだ。


©Kenny Braun


©Kenny Braun


Info
テキサス観光局
traveltexas.com

サン・アントニオ観光局
getcreativesanantonio.com

フィエスタ・サン・アントニオ
fiesta-sa.org


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