シチリア島の高台の町
Taormina, Italy
タオルミーナ(イタリア共和国)(2013年3月15日記事)

Taormina, Italy

イタリアの国土が長靴の形をしているのは誰もが知るところだが、つま先で蹴飛ばされたような逆三角形の島がシチリア島だ。そしてタオルミーナはシチリア島東海岸の町。古代ギリシャやローマ時代の遺跡や神殿が残るこの小さな町が注目を浴びたのは19世紀末、ヴィルヘルム・フォン・グレーデン男爵による写真がきっかけだった。彼がタオルミーナで撮影した一連の作品が発表されるやこの地は世界中の注目を集め、ヨーロッパの皇族をはじめ富豪や芸術家が長期滞在するようになったのだ。

今でも写真の中の野性味あふれる風景とモデルの少年達に強烈な印象を受けるのだから、当時の人達がこぞってタオルミーナに集まったのも想像に難くない。まるで楽 園を訪れるような気持ちでこの地に下り立ったに違いないだろう。

ウンベルト一世通りを西へ東へ

カターニア空港からタクシーで数十分。高台にある市街地に到着すると、絵の具を薄めず直に塗りこんだような濃厚な水色のイオニア海が目の前に広がる。映画「グラン・ブルー」の舞台にもなったタオルミーナでは、町なかからロープウェイでマッツァーロ湾まで降りるとダイビングセンターがあり、映画さながらの素潜りに挑戦できる。海の透明度は非常に高く、見渡す限りブルー一色の水中世界はこの上幻想的。4月から10月の間、マッツァーロ湾と隣りのイゾラ・ベッラ湾からはタオルミーナ版、青の洞窟行きの船が出ている。暗い洞窟の中で輝く海水は、思わず引きこまれそうになる危うい美しさだ。ひと泳ぎして心地よい疲れに包まれたら、町に戻ろう。

人口1万人あまりのタオルミーナ市街の中心を走るのはウンベルト一世通り。東のメッシーナ門から西のカターニヤ門まで続くのは約800メートルの歩行者天国で、レストランやブティックがずらりと続く。銀ブラならぬウンブラとでも呼びたくなるような賑わいだ。カターニヤ門の手前に広がるドゥオモ広場の噴水にはケンタウロス像が建っている。しかし、このケンタウロスはなぜか女性。そして4本足の代わりに2本の腕を持つ独特の姿をしている。青空を背に王冠をかぶった気高い姿にその云われを問いかけたくなったり、畏怖の念が湧いてきたり…。タオルミーナを見守ってくれる、心強い町のシンボルにはひと目会っておきたい。

タウロ山をひたすら登ると…

ウンベルト一世通りと交差するテアトロ・グレーコ通りを海に向かって進むと現れるのが、シチリア島を代表する遺跡・グレコローマン様式のギリシャ劇場。直径約120メートル、5400人を収容するこの巨大な劇場では、今でも毎年夏になるとコンサートや演劇が開催され、タオルミーナ映画祭では巨大スクリーンが張られて映画が上映される。紀元前3世紀に建設が始まった遺跡が現役で機能しているとは驚くばかりだ。まだまだ歩き足りないならば、タウロ山に出発したい。山頂近くのマドンナ・デッラ・ロッカ教会の白く輝く十字架を目指して、峻岳な山並みに囲まれた階段を1段また1段と登る。ようやく教会に到着したら、その瞬間に眼下を見晴らしてみよう。そこには市街地とギリシャ劇場、空との境界線が青いグラデーションとなったイオニア海と、タオルミーナの美観を一堂に集めた大パノラマが展開されているだろう。

そして、歩き疲れた後には食の楽しみが待っている。特産品のイワシをはじめウニやエビなどのシーフード、シチリア名物のライスコロッケ… テーブルには必ずバルサミコ酢とオリーブオイルがおいてあり、何にでもかけて食べるのがタオルミーナ流。もうお腹いっぱい? ならばリモンチェロや、ウオッカをちょっぴり垂らしたエスプレッソでキリリと締めくくりだ。

More Info
● イタリア政府観光局(日本語)
www.enit.it/ja




 
 

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