伝説の巨人が眠るスペリオル湖畔の町サンダーベイ
Thunder Bay Ontario, Canada
(2017年9月8日記事)

Canada

 

ネイティブカナディアンの伝統が色濃く残る土地

オンタリオ州北西部の主要都市サンダーベイは、北米五大湖の中でも最大の面積を持つスペリオル湖に面した町。スペリオル湖から大西洋まで続くセントローレンス海路の港があり、カナダ西部から東部へ運ばれる貨物の重要な中継基地だ。ネイティブカナディアンの伝統が色濃く残り、「カナダのセブンワンダーズ」の1位に選ばれた圧倒的な自然を誇る一方で、フィンランド系の移民が多く、北欧文化が根付いているのも特徴的。メープル樹林が広がる野生の大地は、紅葉シーズンに美しさのピークを迎える。 オンタリオ湖のおよそ4.3倍もあるスペリオル湖は、 世界最大の淡水湖。17世紀にフランス人探検家によってスペリオル湖と名付けられたが、それ以前からネイティブカナディアンのオジブウェ族からオジブウェ・ギッチー・グミー(オジブウェの大いなる海)と呼ばれ、彼らを含むファーストネーションの人々の生活拠点だった。その伝統的な暮らしぶりは今に伝えられており、折りにつけ触れることができる。たとえばかつて湖を旅する際の大切な足だったカヌー。サンダーベイでは近年、樺の木の皮やトウヒ材を集めて組立てるネイティブカナディアン独自のカヌーづくりに若い世代が挑戦し、再び学び継がれている。 スペリオル湖畔で最も大きな人口12万都市のサンダーベイだが、周囲にはせわしない日常を忘れさせてくれる悠久の時間が流れる。その代表的な場所が、サンダーベイの東側に伸びるシブレー半島のスリーピング・ジャイアント州立公園。てっぺんが平たいテーブル状の山や丘陵「メサ」の景観がこの地域の特色で、スリーピング・ジャイアントは巨人が横たわったように見える独特のメサのシルエットからその名がつけられた。オジブウェ族の伝説によると、巨人精霊ナナボーゾが彼らに半島の先にある銀鉱山の島シルバー・イスレットの場所を教えてくれたが、その場所を白人の開拓民に知られてしまったためナナボーゾは岩になってしまい、以来スリーピング・ジャイアントとして姿を残しているという。80キロメートル以上におよぶトレイルコースにはメサの上からスペリオル湖を見下ろす絶景スポットがあり、今年は10月10日までキャンプも可。眠れる巨人の懐ではどんな夢が見られるのだろう。

フィンランド系移民の文化に触れる

点在するメサの中でもう一つの際立った存在が、サンダーベイ市街の南側にそびえるマウント・マッケイ。古くからオジブウェ族が儀式を行っていた聖なる山で、周囲は現在もファーストネーションの居住区だ。傍には展望台があり、熟練の植木師が整えたような端正な姿のマッケイ山を、絶好の場所から眺められる。紅葉シーズンになると、マウント・マッケイのメープル林は絵の具を広げたパレットのように緑・黄色・赤のグラデーションに染まる。その姿が麓を流れるカミニスティキア川に映って、一年のうちで最も彩り豊かな景色が一面に広がるのだ。 サンダーベイで紅葉を巡るなら、ダウンタウンを縦断してウィメット・キャニオン州立公園も鑑賞しよう。スリリングな断崖渓谷と赤く染まった樹海が、他に類のないコンビネーションを見せてくれる。道中、テリー・フォックスの銅像のある展望台にも立ち寄りたい。スペリオル湖やスリーピング・ジャイアントの大パノラマと、サンダーベイでラスト・ランを迎えたカナダの英雄フォックスの姿が溶け合う感動的な場所だ。


ところでサンダーベイのダウンタウンに戻ると目に入ってくるのが、スカンジナビアンレストランや北欧式サウナ店。150年ほど前、森林産業に従事するためにサンダーベイに渡ってきた北欧の人々は、気候や風土が似たこの土地にそのまま住み続け生活を営んできた。特に多いのがフィンランド系移民で、ここにはフィンランド本国外で最大のコミュニティがあるという。何代にも渡る彼らの文化に触れたければ、ベイ通りのフィンランディアン・クラブことフィニッシュ・レイバー・テンプルへ。1910年に開館したこの文化会館には同じく約100年の歴史を持つレストラン「ザ・ホイト」 が入っており、開店以来町のシンボル的存在だ。労働者達にリーズナブルで家庭的な料理を提供する目的でオープンしたザ・ホイトの名物メニューは、フィンランド式パンケーキ。お皿いっぱいに広がる薄くてもっちり香ばしいパンケーキを朝食にと、週末には行列ができるほどの人気ぶり。パンケーキ以外の様々なフィンランド料理も揃っており、メニューに並ぶフィンランド語の名前を見ていると挑戦してみたくなる。


その他のサンダーベイらしい食べ物といえば「ペルシャン」。ピンク色のアイシングが厚くたっぷり塗られたシナモン風味の渦巻きドーナツで、アイシングはいちご風味なのか? それともラズベリー風味なのか? としばしば議論を呼び起こす。スーパーや製パン店にも並ぶサンダーベイヤー達のソウルフードで、こちらも朝食に人気の一品だ。ペルシャンの創始者がオープンした専門店「ヌッチズ・ベーカリー」と「ザ・ペルシャンマン」は町に数軒の店舗があるので、元祖の味を訪ねてみたい。 そして北オンタリオの料理といえば、湖畔でのショア・ランチ。ピッカレルなど白身魚にお手製の衣をつけ、大きな鉄鍋で揚げたフィッシュフライにかぶりつく。大自然のテーブルで味わうショア・ランチは、どんな高級レストランもかなわない贅沢なごちそうだ。






Info
オンタリオ州観光局HP(日本語)
www.ontariostyle.com/thunder

サンダーベイ市観光局HP(英語)
www.thunderbay.ca

 

Thunder Bay Ontario, Canada