英国よりも英国らしい古き良き街
Victoria
(2016年6月3日記事)

British Columbia

©Tourism Victoria, Deddeda Stemler

英国よりも英国らしい古き良き街

カナダ西海岸、バンクーバー島の南端にあるビクトリア。街の名は、1837年に18歳の若さで戴冠した英国女王ビクトリアに由来する。ブリティッシュ・コロンビア州の州都であるこの街は、1840年代以降、英国の入植者が開拓を進めたことから、英国風のヘリテージビルが今も多く残り、カナダの中で最も「古き良き英国っぽい」景観が見られる場所。気候はカナダで最も温暖と言われ、年間を通じて過ごしやすい。

この温暖な気候、人間にとって過ごしやすいだけでなく、花々を育むのにも最適で、ビクトリアには「シティ・オブ・ガーデンズ」と呼ばれるほど多くの緑あふれる庭園がある。その代表はブッチャート・ガーデン。20世紀初頭にカナダのセメント王、ロバート・ブッチャートの妻ジェニーが、自宅近くの石灰岩の採掘跡に花を植えたことから始まったガーデンだ。約22ヘクタールの広大な敷地に、ローズガーデンや、日本庭園、地中海庭園を含む5つのエリアがあり、季節ごとの色とりどりの花々を愛でられる。特に、世界中から集められたバラが見ごろを迎え、つるバラが華麗なアーチを作る夏は、土曜日ごとに園内で打ち上げ花火も開催されるので、バラともども楽しみたい。7月、8月は音楽ライブやバレエなど、ほぼ毎日イベントが開催されており、ダウンタウンからは少し北に離れてしまうのだが、ぜひ足を運びたいスポットだ。


©Tourism Victoria


逆に、ダウンタウン近辺にあるのはビーコンヒル・パーク。海峡を望む大きな公園で、バラを中心としたガーデンのほか、高さ約40メートルにもなるトーテムポールや、子どものためのふれあい牧場など、見どころたっぷり。海を渡る野鳥も観察できる。

ビーコンヒル・パークの西には、20世紀前半のカナダを代表する画家、エミリー・カーの生家がある。明るい黄色に塗られたかわいらしい外観の家で、居間にはエミリーの絵が並べられている。生涯を通じ、カナダ西部の森や、朽ちてゆくトーテムポールなどを独特のタッチで描き続けたエミリー・カー。絵に専念するために生涯独身をつらぬき、理解者も少なく、生前は逆境での作品づくりとなったが、当時、北米およびヨーロッパにおいて、彼女ほど精力的に活動を続けた女性画家はいないと、現在では高い評価とともに広く人々に愛されている。ビクトリアでは、アートギャラリー・オブ・グレーター・ビクトリアや、ロイヤル・ブリティッシュ・コロンビア博物館などでその作品を見ることができる。


©Tourism Victoria, Craigdarroch Castle

歴史的建築の背景に人の想いあり

さて、穏やかなインナー・ハーバーに面して、歴史ある建造物が並ぶ街並みが印象的なビクトリア。その中の1つに、1898年に公式オープンした州議事堂がある。重厚感のある堂々とした佇まいだ。建築予算が当初の予定を倍近く上回ったというだけあり、まるでヨーロッパの宮殿のようなロマネスク様式の外観に、ステンドグラスの豪華な内装や吹き抜けの天井画は見事。内部は自由に見学できるほか、無料のガイドツアーなどもある。

この州議事堂は、英国出身で、当時ピカピカの25歳だった建築家フランシス・ラッテンバリーによって設計されたもの。近隣に建つ高級ホテル、フェアモント・エンプレスなど、ビクトリアには彼が設計した建築物がほかにも多く残されている。こうした名建築の設計に携わったラッテンバリー自身は、この後、建築よりも、ユーコンで勃発したゴールドラッシュに関連した運輸ビジネスに傾倒して大儲けしたが、第1次大戦後のバブル崩壊を経て事業破たん。イギリスに移ってからは貧しい生活を送ったのだという。


©Tourism Victoria, Deddeda Stemler


©Tourism Victoria, Steve Roper

また、ダウンタウンから東へ向かうとあるのは、クレイグダーロック城歴史博物館。これを建てたスコットランド出身のロバート・ダンズミュアは、石炭や鉄道事業で財をなした名士で、政府から報酬として与えられた土地で、一時期はバンクーバー島の約4分の1を所有していたほどだったそう。1887年から3年の月日をかけ、妻のために建てたお城のような邸宅は、多用された木が重厚な雰囲気を醸し出すとともに、ステンドグラスや贅沢な家具などが華やか。城の名は、スコットランドの民謡にもなっている「アニー・ローリー」が嫁いだ領主の名にちなんで名づけられた。彼女もやはり、自身のために建てられた大邸宅に生涯暮らしたと言われているからだ。

みずみずしい庭園と、情緒たっぷりの建築物を心ゆくまで堪能したあとは、ゆっくりとアフターヌーンティーに出かけたい。英国の色を濃く残すだけあって、ビクトリアにはアフターヌーンティーが楽しめるカフェがあちこちにある。有名どころでは、エリザベス2世をはじめとする各界の著名人が愛した、フェアモント・エンプレスの荘厳なティーロビーでのハイ・ティー。また、ポイント・エリス・ハウスは、19世紀半ばに建てられたビクトリア様式の邸宅を利用したカフェで、グランド・ティーが楽しめる。紅茶のポットとともにサーブされるミニケーキ、スコーンやサンドイッチは至福の味わい。場所によってはドレスコードや予約が必要なので、事前のチェックはしておこう。


©Tourism Victoria

インナー・ハーバーで海の魅力を満喫


©Tourism Victoria, Deddeda Stemler

最後におすすめしたいのは、三方を海に囲まれたビクトリアならではの楽しみ。ビクトリア近海は、ファーストネイションが美と力の守護神として崇めたシャチの生息地。世界中で最もシャチの生息密度が高い海とされ、ホエールウォッチングの遭遇率が高い。ほかにもカヤックツアー、セイリングやクルーズなど、どれもインナー・ハーバーから出発するので、気軽に体験できる。また、インナー・ハーバーには、港内にある多数の停泊所を結ぶビクトリア・ハーバー・フェリーが運航しておりバスのようにちょっとした移動に使えるほか、周遊コースなども楽しめる。


©Tourism Victoria



Info
ブリティッシュ・コロンビア観光局
www.hellobc.jp

ビクトリア観光局
www.tourismvictoria.com

クレイグダーロック城歴史博物館
thecastle.ca




 
 

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